No.587
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第六十四回「書く」2020年5月2日
好きで書いていたって嫌になる時はあるんです、というのが先生の言い分。
それがたまの気まぐれならいいのですが、毎日なのが困ったもので。今日も先生は机に向かってもなかなか執筆に入らずにペンの選定。赤い軸のやつは昨日使っただとか、青い軸のやつは手になじまないだとか、気難しいにもほどがあります。
ただ、それも必要な手続き。
先生が書き記すものは限りなく先生の過去に近い物語。だから、これは過去の世界に飛び込むまでの助走なのだと、近頃のネイトには理解できつつありました。
時間をかけてペンを握った先生は、色眼鏡越しに遠くを見つめます。ネイトには見えない、けれど確かに存在したものを見すえて、ペンを走らせるのです。
――『先生の助走』
タイプライターで印字された文字列は確かに私の名前だった。
名前を呼ばれなくなって久しかったから、手紙を通してかろうじて自分がそんな名前であったことを認識する。
内容は近況報告に私の具合を心配する――心配だなんて! お決まりの文句とはいえ友のお人よしさに呆れたくなる――一文。それから、次の面会の日取り。
監獄『雨の塔』は今日も静かで、私と刑務官以外の気配は感じられない。そんな中で外の気配を連れてきた書簡の末尾には、手書きの、読めたものではない署名。利き手でない方で記されたそれを指先でなぞって、息をつく。我が友は今日も変わらない。私と友との道がどうしようもなく違った今ですら。
さあ、何と返事をしようか?
――『書簡』
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