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シアワセモノマニア
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ハッピーをお届けする空想娯楽物語屋

No.2128

アフターグロウ・アフターイメージ/Side: 鏡 八千草

CoC6版『庭師は何を口遊む』自陣向けに書いたシナリオ、HO4の鏡 八千草さん向け。

※この文面には『庭師は何を口遊む』のシナリオのネタバレが含まれます。


■個別トレーラー
あなたは今、夕焼け空の下に立っている。……何故か。
つい先ほどまで、あなたは零課の執務室にいた。
ただ、鏑木が「調子が悪いから少し休む」と言ったきり、仮眠室から戻らないため、様子を見に行ったはずだったのだが。
黄昏時の知らない街並みは、静かで、よそよそしくて、あなたを拒むようで。
その時、どこからか、あなたを見つめる視線を感じた。

======

■Side: 鏡 八千草/特殊ルール

「あなたは手際よく俊敏性に優れ、多岐にわたる心得がある。」

あなたは、この夕暮れの街においては、その「手際よさ」と「俊敏性」をもって、あらゆる【戦闘技能】【探索技能】【運動技能】をDEX*3(=66)で代替することができる。

※理由としては「夕暮れの街」は「鏑木の精神世界」であるため、鏡さんの本来のスペックに加えて「鏑木がイメージする鏡さん」が反映されているからである。鏑木は鏡さんが「なんでもできる」と思ってるフシがある。ただし、交渉と知識に関しては流石に「鏡さんが持っている範囲」でしかない、ということを理解しているため代替が不可能である模様。

======


さて、鏡 八千草さん。
あなたは今、知らない場所に立っています。
夕暮れ時の住宅街。
しかし、今は昼時のはずで、しかも零課の執務室にいたはずです。
これまでに何があったか思い出そうとすると、まず、鏑木チーフのぼやきが浮かぶでしょう。


鏑木
「なーんか、最近、変な夢ばっか見るんだよな」

そんなことを言っていた鏑木は、近頃、少しばかり調子が悪そうです。
そんな状況が、ここ一週間ほど続いているでしょうか。
鏡さん、あなたは鏑木と何かその件について話したでしょうか?
(以下、鏡さんが望むならRP)

《鏑木ロール指針》
・夢の話は聞かれなければ詳細は答えない。鏑木はよく覚えてないので。
・ただ、「毎回、夕暮れの景色のような気がする」とは答える。「あと……」と、口ごもるようなそぶりを見せるが、「いや、何でもない」と言う。
・問いただせば、「毎回、何かに殺されてる、気がするんだ」と、白状する。「『何』に殺されたのかは思い出せないんだが、何かすっげーリアルな感触が残ってんの。嫌んなっちゃうぜ」とへらへら笑ってみせるが、その顔色は酷く悪い。

ともあれ、零課チーフ・鏑木は最近はずっとこんな調子だったのです。
常日頃から精神力ひとつで稼動してるような男なので、ぼやきつつもなんだかんだ仕事はこなしていたのですが。
今日に限って、昼食時、ふらふらと仮眠室に向かいながら、鏑木は鏡さんに言いました。
「悪い、調子が悪いから少し休む」
「鏡、もし時間が過ぎても俺が起きてこなかったら、叩き起こして構わねえから」
……そして、昼の休みが終わっても起きてこなかったんですね。
仕事させるにせよ、帰らせるにせよ、声をかけねばなりません。
かくして、仮眠室に向かった……、ような、記憶はあるのですが。


あなたは、今、知らない住宅街に、一人立っています。
ひどく静かで、車の音や人の声や足音、風の音も聞こえません。
異様な状況にSANc(0/1)
……その時、あなたは視線を感じます。
別に目星とか聞き耳とかは必要ありません、その正体も明らかなので。
ふ、とあなたが視線を向けた先、道の途中に何者かが立っています。
ひとりの少年です。

(立ち絵を提示)


あなたが気づいたことに向こうも気づいたのでしょうか、びくりと震えますが、逃げはしません。
……近づいてもこないですが。/

《以下フリースタイル》
鏑木少年と出会う。鏑木少年が「父親(精神世界を探索する鏑木)を探している」ことを伝え、鏡さんに協力してもらう形にもっていく。

《鏑木少年ロール指針》
・見た目は小学校高学年~中学一年生くらい(聞かれれば「じゅっさい(=10歳、小学五年生)」と答える)。背は高め(155~160くらい)だがひどく痩せている。フードから覗く髪と目は灰色で、肌の色は薄い。鏑木と同じ特徴。
・一人称は「おれ」。ひらがな多めのたどたどしい口調で喋る。(精神的に見た目・実年齢より幼い)
・最初は酷くおびえている。視線が合わないことに気づかせてもいい。
・いじめない、とわかったら少し明るく喋るようになる。喋り方はわやわやで、相変わらず視線は合わないが。
・やや頭が悪いというか相手の話が半分くらい分かっていないような素振りを見せる。INTというよりはEDUが低いということが伝わるといいな。
・話がある程度落ち着いたところで「おとうさんを探している」ということを伝えること。詳しく聞くと、父親は家にいないこと、父親のことはよく知らないこと、その上で、先程父親らしき人物を見つけて追いかけてきたことを語る。父親と判断した理由は「おれににてる」から。
・父親を探している理由は「母親に会わせたい」から。母親は寂しそうで、いつも父親の話をしている、という話を付け加えてもいい。
・父親とおぼしき人物は、背が高くて眼鏡をかけてた、という証言をする。詳しく聞けば確か黒いシャツに赤いベストを着てて、ズボンの色は灰色だったと思う、という説明になるかな。適宜状況に合わせて。

《やってもいい判定》
〈目星〉
(成功・失敗にかかわらず)
とりあえず、この子は鏑木によく似てますね。なんか日本人離れした珍しい見た目してますからね、あのチーフ。
(成功)
あと、やや、右手をかばうような動きをしてますね。怪我をしているのかもしれません。

〈アイデア〉
それ、父親というか、さっき仮眠室で寝てたはずの鏑木なのでは?
ただ、鏑木に子供がいるという話は聞いたことがないですね。
(名前を聞いていれば子供鏑木も鏑木健太と名乗ってるのでここはまあ適度に調節して)
鏑木なら、この街のこと、自分の状況のこと、何か知っているかもしれません。

《探索》
どうやら、この街の中に、鏑木がいるようです。
……まあ、この少年もどうも鏑木みたいですが。
状況はよくわかりませんが、とりあえず、鏑木をとっ捕まえて話を聞いた方がよさそうです。


【探索箇所】
・住宅街:夕暮れの街並み。家々の扉は閉ざされており、人の気配はない。
・川沿い:家々の間から土手が見える。おそらく川が流れているのだろう。
・トンネル:住宅街の道の先にはトンネルの入り口がある。その先は暗く、何も見えない。

どこに向かっても出来事の起こる順番は変わらないが、以下の描写を挟む。

《1:影に追われる》
辺りを見渡す。何かないか――と思った時、視界に「何か」がふっと重なり世界が暗くなる。

>BGM: 停止

景色を覆うような、黒い網のような。
もしくは……。

〈博物学〉
(成功)
それは「菌糸」のように見えたかもしれません。
ただ、あなたの知識にはない種類であるし、そもそも、目に映る景色全体を覆う菌糸など地球上には存在しないでしょう。

その時、ずるり、視界の隅で何かがうごめく。
(場所に合わせた描写)の影と思われていたそれは、あなたの前で引き伸ばされ、歪み、生い茂り、花を咲かせる。
それは、あの教会地下で見た「地獄の植物」に、あまりにもよく似て――。
あり得ざる光景に加えて、罪と恐怖の記憶が呼び起こされ、SANc(1/1d3)

それは、影のようでありながら、確かな質量を持っているように見えます。
刹那の恐怖に身を竦めたところで、あなた目掛けて、恐るべき素早さで這ってきます。
あなたは、この影から逃れなければならない。そう直感します。

>BGM: Memorial-Tablet

〈回避〉or【DEX】*3

・成功
あなたが避けたことで、その植物のような影はあなたの横をすり抜ける。しかし、即座に鎌首をもたげてもう一度、あなたを狙うことでしょう。
・失敗
影があなたに絡みつきます。その感触は、まさしく「植物」のそれで。力強く、荒々しく、あなたの体を締め付けます。
HP-1d3
あなたの脳裏に激しくちらつくのは、色鮮やかな花々。あなたの前で花に覆われていった、相模原の姿。
かつての出来事を「繰り返している」かのような錯覚に、自分が「その番」になったかのような感覚にSANc(1/1d6)

その時でした。
たぁん、という乾いた音。
影の植物ははっと我に返ったかのように動きを止め、音もなく影の中に潜り込みます。

>BGM: 停止

そして、その場には静寂が戻りました。
先ほどの音は――銃声?
あなたは音の聞こえた方を振り返りますが、そこに人の姿はありませんでした。


視界を覆っていた網もいつの間にか晴れていて、それは、ひと時のゆめまぼろしであるかのよう。


《2:鏑木を発見》
「おとうさん」
そう言って、少年が駆けていく。
見れば、灰色の髪をした、長身痩躯の男が立っている。
仮眠室で寝ていたはずの、鏑木だ。
「おー、いたいた。……って、あれ、鏡?」
(RP)

《鏑木ロール指針》
・事情を聞かれると「いつもこの夢を見てんだよ」と素直に答える。
・どうして鏡さんがここにいるのかといえば、「俺は目を覚ますと思い出せなくなる。だから、原因を探ってくれる『誰か』を呼んでた」「本当に『誰か』が来てくれるとは思ってなかったが」「どうも俺は何かにとりつかれてるっぽくてな」「日に日に夢の中で起こることが悪化してるんだよな」「お前も見ただろ、あの、超気色悪い網目と、襲ってくる影」「俺は、毎日、あの影に殺されることで目が覚める」
・「別に、俺だけがうんうん唸ってりゃ済むならそれでいいんだが」「嫌な予感がするから、俺の頭がかろうじて正常な間に誰かの助けを借りたかった」(ちらつく、黒い網)「この網が俺の夢全体に広まった時、最悪なことが起こる気がする」
・「ただ、お前を呼び込んじまったことで、『こいつ』が警戒してるみてえだな。同じ奴を二度呼び込むことは難しそうだ」「だから、今、解決できなくとも、『持ち帰って』くれないか」「ここで起こったこと、何が影響しているのか、お前のわかる限りでいいから」

その他情報
・「俺がガキのころ暮らしてた街に似てる……、かもしれない」「よく覚えてねえんだよな」
・鏑木少年から「おとうさん」と呼ばれていることについて、鏑木は声を殺して「一応、今は『おとうさん』ってことにしといてくれ」という。「何度説明しても忘れちまうんだ。俺だけが記憶してる」「目覚めちまえば、俺の方が何にも覚えてねえのにな」
・先ほど銃を撃ったのは鏑木。鏡さんのことは見えていなかったが、影が誰かを襲っているのを見つけて、咄嗟に威嚇のために発砲した。ホルスターの銃を見せる。鏡さんは持っていない。
※鏡さんが持っていないのは「鏡さんには撃たないでいてほしい」の意味が強い。これはアイデアあるいは心理学で判断させていい。
・鏑木が同行する。

鏑木少年が「おとうさん、おかあさんに会って」と言い、探索場所に『鏑木家』が追加される。

・鏑木家:古く小さな一軒家。庭は荒れていて、長らく手入れがされていない。

《3:襲撃と目覚め》
あなたたち三人は、()に向かいます。



そこに、再び、覆いかぶさる黒い網――。
鏡さん、あなたは改めてそれを見て、どうも「菌糸」のようだと思うでしょう。
そして、同時に、影という影から現れた草花があなたに襲い掛かってくるでしょう。
銃声。傍らに立つ鏑木が銃を抜いて、あなたに向かってきた影の花を撃ちます。
しかし、その数は減るどころか数を増すばかり。


「あー、こりゃ無理だな」
そう言って、鏑木は幼い自分自身を鏡さんの方に押しやります。
「いくら『舞台装置』だとしても、こいつがどうにかなるのは、気分が悪い」
「俺の目が覚めれば、お前も覚めるだろ」
「――ただ、『何が起こったのか』は、きっちり見届けてくれ」
「俺は覚えてられられないから、お前だけが頼りだ」


判定を行っていきましょう。
鏑木が前に立ったことで、あなたに向かっていた影のほとんどは鏑木に向かうことでしょう。
しかし、それでも、あなたの体にも巻き付こうとする蔦がひとつ。
〈回避〉or【DEX】*3
失敗でHP-1d3

もたげる影が裂け、改めて絡み合い、更に形を凶悪なものにしていきます。
その動きを、あなたは、確かに目に焼き付けて。

〈博物学〉
影のようなそれもまた、景色を覆うそれと同じ、菌糸の塊であるように思います。
先ほどの鏑木の言葉を思い出します。
「この網が俺の夢全体に広まった時、最悪なことが起こる気がする」
もちろん、このような奇怪な現象を起こすものなど、地球上には存在しません。
しかし、「その形」を取っているように見える以上は、何らかの類似があってしかるべきです。
あなたは、ふと、「寄生する生物」のことを思い出すでしょう。
例えば、Ophiocordyceps sinensisは、土中の虫に寄生し、その体内の養分を用いて菌糸を張り巡らせ、やがて子実体を作り菌を撒く子囊菌類のきのこの一種です。
Ophiocordyceps sinensis、いわゆる「冬虫夏草」と呼ばれるそれと、鏑木の夢を侵蝕しているこの菌糸は極めて近しい生態を持つように思われます。
そして、鏑木の夢を侵蝕しきったその時には――、虫から生えたそれが菌を撒くように。被害者が増えることを示しているのでは、ないでしょうか。

※失敗した場合は〈知識〉
影のようなそれもまた、景色を覆うそれと同じ、菌糸の塊であるように思います。
先ほどの鏑木の言葉を思い出します。
「この網が俺の夢全体に広まった時、最悪なことが起こる気がする」
もちろん、このような奇怪な現象を起こすものなど、地球上には存在しません。
しかし、「その形」を取っているように見える以上は、何らかの類似があってしかるべきです。
あなたの頭に浮かぶのは、虫から生えるキノコ、いわゆる「冬虫夏草」の類。
この菌糸もまた、鏑木の夢を侵蝕しきったその時には――、虫から生えたキノコが菌を撒くように、被害者が増えることを示しているのでは、ないでしょうか。

どうすれば?
あなたはまだ、その答えを持ちません。
……けれど、あなたは一人ではないのです。

「頼んだぞ、鏡」

群れる影の向こうから、声。



そして、何かを押し殺すような呻き声と、何かが折れる音。
SANc(1/1d3)

そして、あなたの意識はすとん、と闇に落ちて。


目を開けば、そこは見慣れた仮眠室。
酷く青い顔をした鏑木が、それでも、何でもない風を装って、「悪い、ちょっと寝過ごした」と声をかけてくるでしょう。

「夢に、鏡が出てきた気がした」

あなたは、忘れる前に二人に伝える必要があるでしょう。
鏑木に何が起こっているのか。
鏑木の夢で知りえたことを。

これはもはや、鏑木一人の問題ではありえないのですから。

【宿題】
次回の根林さんのシナリオまでに、
「鏡さんは根林さんと犬見さんに何を伝えたのか?」
を鏡さんの言葉でまとめていただけると助かります。
よろしくお願いいたします。

【報酬】
鏑木の夢から情報を持ち帰った:SAN+2d3

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