『カリギュラ』(2019) 作:アルベール・カミュ 翻訳:岩切正一郎 演出:栗山民也 初見感想は >>600 続きを読む最初に「悲しみは永遠ではない」って話してるのがさ~。 世界はありのままで十分とは思えない。十分ではない、そのままでは耐えがたい。 でも、カリギュラがそう感じた端緒ってやっぱり「悲しみ」なんじゃないかなという……。 永遠でないものが耐えられない、というのもあったんじゃないかな~。 「苦悩も長続きしない、意味を奪われている」という最終局面のカリギュラの台詞からも、そう感じるのだよな。 カリギュラのあり方って、人というものを理解した上での狂気というか。 「わかっててそうしている」がベースだというのがやっぱり私の感じ方なんだよなあ。 カリギュラ自身が己の肉体(実体?)を持って知っていること。 ケレアは最初から「ありのままのあの人を見ろ」と言っているんだよなあ。 十分に気が狂っていない。自分の望みを知っている。 人間と世界を否定するに至っている。 そんなカリギュラが最後に「たった一人になる日」を待つのがケレアの戦略で。 一度見終わった後にここを見ると、まさしくその日がやってくるのだな、と……。 エリコンがシピオンに「お前さんならカリギュラを殺せる」っていうのもな~。 カリギュラは(遥か大きなものに)反逆する者であるがゆえに反逆を許容するんだなあ。 神々と肩を並べる方法は神々と同じだけ残酷になること、かあ……。 ただどこまでもカリギュラは神の真似をするだけで、本当に神になれるわけではない。 神の不可能性はカリギュラの手に入るわけではない。月は手に入らない。 人間に対しては暴君という名の神になれるけれど、カリギュラが望んだものになれているのか? 月はどうしたってカリギュラの手から零れ落ちていくのだなあ。 エリコンは最後までカリギュラの味方なわけだけれども。 愛する、ということについて考えずにはいられないな……。 セゾニアもまた「愛する」ことについてケレアに問いかけるわけだけれども。 そしてシピオンもまた最後に「愛しました」とカリギュラに告げる。 愛……。愛かぁ……。 そうだな、みな「人間」であるカリギュラを愛していたのだろう。 カリギュラはそうして、愛すると言った者をひとつひとつ失っていく。 それが、カリギュラの本当の破滅のときなのだということを考える。 カリギュラの幸福。それは孤独なんだなぁ。孤独。 それは間違いなく破滅なんだけど、カリギュラにとっての完成と考えられた何か、とも思うかな……。 自分の、人間たる部分を切り離す手続きというか。 でもその一方で「終わるのが怖い」ともいうのだなあ。 最後のシーンやっぱり好きだなあ。暗く閉ざされてた空間が開ける瞬間。 でもその瞬間にカリギュラは死ぬわけなんだけれども。 「俺はまだ生きている」っていうのがどういう言葉なのかまだ噛み砕けてないな……。 でも最後の最後まで目を閉じない在り方がね……。カリギュラ……。畳む 2021.6.27(Sun) 14:18:49 舞台 edit
作:アルベール・カミュ
翻訳:岩切正一郎
演出:栗山民也
初見感想は >>600
最初に「悲しみは永遠ではない」って話してるのがさ~。
世界はありのままで十分とは思えない。十分ではない、そのままでは耐えがたい。
でも、カリギュラがそう感じた端緒ってやっぱり「悲しみ」なんじゃないかなという……。
永遠でないものが耐えられない、というのもあったんじゃないかな~。
「苦悩も長続きしない、意味を奪われている」という最終局面のカリギュラの台詞からも、そう感じるのだよな。
カリギュラのあり方って、人というものを理解した上での狂気というか。
「わかっててそうしている」がベースだというのがやっぱり私の感じ方なんだよなあ。
カリギュラ自身が己の肉体(実体?)を持って知っていること。
ケレアは最初から「ありのままのあの人を見ろ」と言っているんだよなあ。
十分に気が狂っていない。自分の望みを知っている。
人間と世界を否定するに至っている。
そんなカリギュラが最後に「たった一人になる日」を待つのがケレアの戦略で。
一度見終わった後にここを見ると、まさしくその日がやってくるのだな、と……。
エリコンがシピオンに「お前さんならカリギュラを殺せる」っていうのもな~。
カリギュラは(遥か大きなものに)反逆する者であるがゆえに反逆を許容するんだなあ。
神々と肩を並べる方法は神々と同じだけ残酷になること、かあ……。
ただどこまでもカリギュラは神の真似をするだけで、本当に神になれるわけではない。
神の不可能性はカリギュラの手に入るわけではない。月は手に入らない。
人間に対しては暴君という名の神になれるけれど、カリギュラが望んだものになれているのか?
月はどうしたってカリギュラの手から零れ落ちていくのだなあ。
エリコンは最後までカリギュラの味方なわけだけれども。
愛する、ということについて考えずにはいられないな……。
セゾニアもまた「愛する」ことについてケレアに問いかけるわけだけれども。
そしてシピオンもまた最後に「愛しました」とカリギュラに告げる。
愛……。愛かぁ……。
そうだな、みな「人間」であるカリギュラを愛していたのだろう。
カリギュラはそうして、愛すると言った者をひとつひとつ失っていく。
それが、カリギュラの本当の破滅のときなのだということを考える。
カリギュラの幸福。それは孤独なんだなぁ。孤独。
それは間違いなく破滅なんだけど、カリギュラにとっての完成と考えられた何か、とも思うかな……。
自分の、人間たる部分を切り離す手続きというか。
でもその一方で「終わるのが怖い」ともいうのだなあ。
最後のシーンやっぱり好きだなあ。暗く閉ざされてた空間が開ける瞬間。
でもその瞬間にカリギュラは死ぬわけなんだけれども。
「俺はまだ生きている」っていうのがどういう言葉なのかまだ噛み砕けてないな……。
でも最後の最後まで目を閉じない在り方がね……。カリギュラ……。畳む