元神様と放浪作家のイビツな関係

09:流れ

 作家先生秋谷飛鳥は何をするでもなく、川べりに腰掛けて夕日に照らされる水面をぼーっと見つめていた。
 ゆったりとした流れの川は、きらきらと光を反射していた。
 飛鳥はふと、手元の薄い石を手に取ると、水面に向かって水平に投げた。
 手から離れた石は、水面で十回ほど跳ね、最後には滑るようにして水の中に沈んでいく。
 少し下手になったかな、と思いながら、再び飛鳥はとりとめもない思考に戻る。
 
 その横で遊びからの帰り道だったのだろう子供たちがものすごい拍手を送ったり、飛鳥の真似をして石を川に向かって投げたりしていたことには、さっぱり気づかずに。