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幸福偏執雑記帳
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以降更新はindexで行います

No.1082

映画『LAMB』見た~。
気になってはいたのだよね、ホラーだから敬遠していたけど……。
LAMB
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail...

しかし上手く説明するの難しいな~これ……。
ホラー、というにはちょっと違うというか、いやホラーはホラーなんだけど。
あと動物にやさしくないからそこは注意してほしい。具体的な描写は少ないけど、でも、嫌といえば嫌なので……。
比較的新しい映画だし一応ネタバレ考慮して伏せます。

とにかく「嫌な映画だなぁ~!!!」って一緒に見てくれたすださんと言い合っていた。
すっごい画面がきれいで(アイスランド! いいなぁ~!!)、とても丁寧かつ静かに進んでいき(でも退屈ではないのがすごい)、異形のアダちゃんがいい子でかわいく(ほんとにかわいい……)、だからこそ浮き彫りになる……「人間の嫌さ」みたいなやつなんだよねこれ……。
確かに発端となるアダちゃんの誕生は異常な事態で、ラストもまあ異常な事態なんだけど、映画全体を支配しているのは、アダちゃんを育ててる夫婦(特に妻のマリア)の不安定さ、言ってしまえば「嫌な感じ」なんだよな。
マリアがアダちゃんに見てるのは、死んだ娘のアダの姿なのだろうし……。こう、すっごく不安定なんですよね、何一つとして軸がないというか、何かに依存していないと生きていけない(少なくとも本人の主観として「しあわせでない」)、というか。だから、それを奪われる可能性がちらっとでも見えれば、全力で排除しにかかってしまうという~この~。猟銃を手にして母羊を殺してしまうところ、ほんとね! ほんとね!!
アダちゃんが生まれるまでの、平穏だけど極めて静かで変化のない日常を映していたからこその、アダちゃんがやってきてからの、見ているこちら側からすれば不安に満ちた、でも明らかに「しあわせそうな」夫婦の姿……。夫イングヴァルの弟ペートゥルがやってきてから、その不安感が否応なしに増すわけで~。ペートゥル、一度アダちゃんを撃とうとして、でもやめて、その後はアダちゃんと普通に、楽しそうにやってるってとこが……えーん……。
そしてやっぱりこんな生活長く続くわけがなくて、おそらくアダちゃんの「父親」であろう怪物が猟銃でイングヴァルを殺し(それがまた嫌だよね……暴力として己の肉体ではなく「人のもの」である猟銃を使うってとこ……マリアが母羊を殺したやり方を繰り返すということ……)、怪物はアダちゃんを連れて去り、マリアは一人残されて終わる。
ここで、おそらくマリアの胎には新たな命が宿ってるだろうことが示唆されるけど、果たしてマリアはどうなるのかは、わからない。
だって、マリア、あの性格だし……イングヴァルが死んで、ペートゥルも去って、誰も彼女を客観視できる人がおらず、そしてあの広大な、かつ閉塞的な土地に一人きり……あまりよい未来が想像できない……。
嫌な映画だなぁ~~~~!!!! いやでも嫌いじゃないですよ、あざらしは普通によい映画だと思う。語り口が上手い。
画面が明るいのもなんかすごいんですよね、嫌な感じなのに、画面がきれいで明るい。広大な自然。かわいい動物たち。
でも、広大だからこそ、そこに生きる人間が「異物」として際立つのかもしれないな~みたいなところ、あり。じわじわとした嫌な感じが貫かれているの、最高によかったな~。
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