今宵の異界
ここでひとつ、観測記録を。
彼岸、おとぎの国、並行世界……。
あらゆる『異界』を巡る「生きた探査機」死刑囚Xと
彼の目を通して『異界』を観測する研究員「私」による
幻想SF短編連作小説シリーズ。
夜の底に手を伸ばす、観測の物語。
――『異界』。
ここではないいずこか、此岸に対する彼岸、もしくは、いくつも存在し得るといわれる並行世界。
人間の意識を『異界』と接続し『潜航』する技術を得た「私」たちは、国家からの命に従い『異界』の探査を開始した。
そして、異界潜航サンプルとして秘密裏に選ばれたのが、刑の執行を待つ連続殺人犯の死刑囚、Xであった。
これは、目に見えない命綱だけを頼りに『異界』に飛び込んでいく死刑囚Xと、彼を観察する「私」の試行と対話の日々を綴る、名も無き君の夜の道行き。
『異界』をめぐる、いくつかの観測記録。
異界へ飛び込む者と、その目を借りる者。
プロジェクトの潜航サンプルとして選ばれた、連続殺人犯である死刑囚の男性。
基本的には穏和で従順だが、タスク遂行の手段は選ばない。
「生きた探査機」として、あらゆる『異界』へ送り込まれる。
異界潜航プロジェクトを率いる女性研究者。
博覧強記で誠実ながら抜けているところもある。
Xを数多の『異界』に送り出し、その目と耳を通して観測を行う語り手。
ここでひとつ、観測記録を。