彷徨舞弄のファンタズム

その海峡では、霧上艇や飛空艇がことごとく姿を消すという。
嵐に呑まれて辿り着いた先は、継ぎ接ぎの幽霊船。漂流者の少女を歓待するのは、頭の螺子が緩んだ幽霊船長。
歪な日々は、いつか終わりを告げるとわかっていても、どうか。どうか、今だけは――。
狂気と愛の行方を描く中編ファンタジー。