TRPGシナリオ[8件]
アフターグロウ・アフターイメージ/絵
あざらしが描いた立ち絵類。
※一部『庭師は何を口遊む』のシナリオのネタバレが含まれます。
■鏑木健太
本編で全然安らかな顔をしてなかったのでそういうの欲しいな……と思ったとあざらしは供述している。
■かぶらき少年
目線逸れてるのがデフォルト。でもちょろいのですぐ目を合わせてくれるよ。
鏑木に比べて表情が薄いのと、目にハイライトがないのがチャームポイント。
■冬虫夏草の怪異
犬見さんvs怪異でやっぱり絵欲しいなってなって描いた。
ベースは庭師本編に登場した相模原涼のイラスト。
弊陣の相模原と根林さんの妹さんは背格好がふんわり似てる設定なので、このまま「根林未来にも見えるかもしれない」って言い切った。
堂々と言い切るのが大事です。
畳む
#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
あざらしが描いた立ち絵類。
※一部『庭師は何を口遊む』のシナリオのネタバレが含まれます。
■鏑木健太
本編で全然安らかな顔をしてなかったのでそういうの欲しいな……と思ったとあざらしは供述している。
■かぶらき少年
目線逸れてるのがデフォルト。でもちょろいのですぐ目を合わせてくれるよ。
鏑木に比べて表情が薄いのと、目にハイライトがないのがチャームポイント。
■冬虫夏草の怪異
犬見さんvs怪異でやっぱり絵欲しいなってなって描いた。
ベースは庭師本編に登場した相模原涼のイラスト。
弊陣の相模原と根林さんの妹さんは背格好がふんわり似てる設定なので、このまま「根林未来にも見えるかもしれない」って言い切った。
堂々と言い切るのが大事です。
畳む
#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
アフターグロウ・アフターイメージ/Side: 犬見 勇
CoC6版『庭師は何を口遊む』自陣向けに書いたシナリオ、HO3の犬見 勇さん向け。
※この文面には『庭師は何を口遊む』のシナリオのネタバレが含まれます。
■個別トレーラー
・犬見さん
「……戻ったか、犬見」
他部署の応援から戻ってきたあなたに、根林久雄は告げる。
鏡八千草の話は正しかったということ。鏑木の容態が思わしくないということ。
このまま放置すれば、鏑木は消失し、更に被害が拡大するということ。
鏑木を侵すものを食い止める儀式の説明を見つめながら、
あなたは一週間前の、鏑木と赴いた不可解な事件現場を思い出していた。
======
■Side: 犬見 勇/特殊ルール
「あなたはこの零課の中で最も屈強な体を持ち、体術などに於いても非常に優れている。」
あなたは、本シナリオにおいて〈挑発〉を使用可能である。
〈挑発〉
この技能はその戦闘ラウンドの間ずっと効力を発揮し続ける。つまり一度成功してしまうと、戦闘が終わるまでの間永続的に機能する。効果は、敵からの攻撃が全て自分に向けられるというものだ。ただし知能数が自分よりも下の獣等にのみ有効である。
〈挑発〉は対人間・神格には利用できない。
(『庭師は何を口遊む』抜粋)
======
さて、犬見さん、あなたは今、ちょうど鏑木から指示された他の部署の応援から帰ってきたところです。
応援に出る前に、鏡さんがこう言っていたことを思い出します。
(鏡さんからの宿題の文面を読み上げ)
鏡さんから鏑木の容態についてこのように聞かされていたあなたは、おそらく、不安を抱えていたことでしょう。
そして、零課の執務室に戻った犬見さんを、根林さんが迎えます。
(根林さんからの宿題の文面、情報項目を読み上げ)
鏑木は仮眠室で眠ったままでいます。
……本来、一旦は目覚めるはずなのですが、どうやら症状が深刻になってきているようです。
このまま放置していれば確実に鏑木は消失し、同じ症状が周囲に広まってゆくでしょう。
根林さんは一週間前の話をしました。
そう、あなたは一週間前、鏑木と共に「失踪事件」の捜査に出かけたことを思い出します。
これは本来は零課の仕事ではないのですが、他部署の応援というやつです。
事件の概要としては、前触れもなく失踪してしまった男性の行方の調査です。
(その男性の氏名や詳細については当シナリオには無関係のため割愛し、以降「失踪者」とだけ表記します)
失踪者と同様の「前触れのない失踪」が同一の地域で数件報告されていますが、未だその行方はつかめていません。
犬見さんは、鏑木と共に失踪者の自宅に赴きましたが、行き先の手がかりを見つけることはできませんでした。
……その時のことを、あなたは、思い出すでしょう。
《回想:一週間前》
犬見さんと鏑木は、失踪者の部屋に足を踏み入れました。
マンションの一室。一人暮らしの、そう大きくはなく、それなりに片付いた部屋。
鏑木
「失踪が発覚したのは職場に無断で欠勤し、その後誰も連絡がつかないってことがわかってのことだ」
「監視カメラの記録を見る限り、その前日の夜帰ってきて、それから部屋から出た形跡はなさそうだ」
こじ開けられた鍵、切断されたドアチェーン。
つまり内側からきちんと鍵がかけられていた、ということ。
また、どの窓も固く閉ざされていたということがわかっています。
生活の痕跡はそのまま残されており、何者かの侵入の痕跡もない。
持ち物は全て残されていて、これらに手を付けられた様子もありません。
「一瞬前までベッドで寝てて、そこから突然『消えた』みてえだよな」
「それとも、『悪い夢に連れ去られた』なーんて、こと……、あってたまるかってんだよなァ?」
そう、失踪者の手帳が鞄の中に残されており、その手帳は既に押収されており、その内容を共有されています。
中身はごく普通の仕事のメモとちょっとした日常の記録でしたが、失踪から数日前の日付で「ここしばらくずっと嫌な夢を見ている」という記載があったと報告を受けています。
夢、それが関係あるとでもいうのか。当時の犬見さんはそう思ったことでしょう。
ただ、鏑木はどう思ったのでしょうか、不意に、口を開いたのでした。
「なあ、犬見。お前は、嫌な夢って見るか?」
「夢でなくても『忘れられない』こと、脳裏をぐるぐると巡って止まらなくなるような、光景が、あるか?」
(ここでは「忘れられない辛い思い出」の話をする。基本的には犬見さんの話を肯定的に聞くものとする。鏑木は聞かれたら以下のように答える)
「俺は薄情だし、頭の容量も足らんからな。今のことしか考えられやしねぇ」
「……どんどん、忘れていくもんだ。いいことも、辛いことも、全部」
(適度に話をしたところで切り上げる)
「すまん、無駄口を叩いたな。捜査を続けよう」
しかし、結局、どれだけ捜査をしたところで、失踪者の行方に関わる手がかりを得ることはできませんでした。
かくして、部屋から出ようとしたところで、不意に鏑木が犬見さんの肩を叩きました。
「何かついてたぞ」
「……、いや、見間違いか? 悪ぃな、脅かして」
しかし、その表情はやけに険しいもので。
……そもそも、鏑木が自分から犬見さんに触れることは、記憶の限り今まで一度もなかったと記憶しています。
※ここで、鏑木は犬見さんが怪異に取りつかれそうになっているところを「肩代わり」している。
鏑木の目には「黒い胞子のようなものが飛んでいる」ように見えていて、それが犬見さんに付着していたのを取り除いた(代わりに自分がそれを得た)ということ。
もし犬見さんが質問してきたなら黒い埃のようなものがくっついていた、という言い方をする。ただし犬見さんにはその埃は見えないし、鏑木も「見失った」という。
ともあれ、その日はそれだけでした。
それだけのはず、だったのですが――。
鏑木があの「失踪事件」と同じ状況に陥ろうとしているのは、間違いなさそうです。
そして、どうも「一度夢に入った人物」は二度は干渉できないということのようです。
鏡さんが目にして、根林さんが分析し、そして、今動けるのは犬見さんひとり。
他に適任がいたとしても、それを探している間に鏑木は消失してしまう可能性が高いでしょう。
もし、あなたが望むなら。
鏡さんや根林さんがそうであったように、鏑木の傍に近づけば、すぐにでも、夢に招かれることでしょう。
あなたは、今、知らない住宅街に、一人立っています。
真っ赤に染まった、夕暮れ時の街並み。
ひどく静かで、車の音や人の声や足音、風の音も聞こえません。
その時、空を……あるいは、風景全体を、音もなく黒い網が覆い。
すぐにそれは消えましたが、背筋にぞわりとするような、感覚。
異様な状況にSANc(1/1d3)
……その時、あなたは視線を感じます。
ふ、とあなたが視線を向けた先、塀の陰に何者かがうずくまっています。
ひとりの少年です。
あなたがそちらを見れば、びくりと震えて、おずおずと様子を窺ってくることでしょう。/
《以下フリースタイル》
鏑木少年と出会う。今回の鏑木少年は既に鏑木に会っており「怖いことが起こるかもしれないから隠れていろ」と言われている。
なお相変わらず鏑木は鏑木少年には「お父さん」ということにしているらしい。困ったものであるが一応鏑木にちゃんと聞けば「説明がめんどいのと、あとは、これが俺の夢であるなら、……カスの嘘であろうとも、『信じさせる』のは俺の勝手だろ」ということ。言い方は悪いけど要するに子供のころの自分がかなえられなかったことを、叶えてもいいじゃないか、程度の意味合いである模様。
《鏑木少年ロール指針》
・見た目は小学校高学年~中学一年生くらい(聞かれれば「じゅっさい(=10歳、小学五年生)」と答える)。背は高め(155~160くらい)だがひどく痩せている。フードから覗く髪と目は灰色で、肌の色は薄い。鏑木と同じ特徴。
・一人称は「おれ」。ひらがな多めのたどたどしい口調で喋る。(精神的に見た目・実年齢より幼い)
・最初は酷くおびえている。視線が合わないことに気づかせてもいい。
・いじめない、とわかったら少し明るく喋るようになる。喋り方はわやわやで、相変わらず視線は合わないが。
・やや頭が悪いというか相手の話が半分くらい分かっていないような素振りを見せる。INTというよりはEDUが低いということが伝わるといいな。
・話がある程度落ち着いたところで「おとうさんが、このへんにかくれてろって、いった」「こわいことが、おこるかもしれないから」という。
・父親とおぼしき人物は、怖いことを遠ざけるためにあっち(鏑木家の方面)に向かった、という。
・ただし、犬見さんがついてこさせない、とするなら問題は無い。きちんと諭せばわかってくれる。気が弱いので。
・父親とおぼしき人物は、背が高くて眼鏡をかけてた、という証言をする。詳しく聞けば確か黒いシャツに赤いベストを着てて、ズボンの色は灰色だったと思う、という説明になるかな。適宜状況に合わせて。
・ちなみに鏡さんや根林さんのことは前後関係を忘れつつも覚えている。毎回鏑木のことだけは忘れている。
少し鏑木少年と喋った後に再び視界を覆う黒い網、そして遠方から聞こえる銃声。
少年が「おとうさんがしんぱい」と言い出す。
なお、犬見さんがそちらに向かおうとするなら「おれも、ついていきたい」ということを言う。
少年に案内してもらうことができる。
駆け付ければ、そこには黒い影のような何かがわだかまっています。
それらは植物の姿をかたどっていることがわかるでしょう。
アザレア、アイビー、あるいはそれ以上の、輪郭だけの花々。
それらが首をもたげ、蔦を伸ばして、そこに立つ見慣れたシルエット――鏑木に襲い掛かろうとしているのがわかるでしょう。
鏑木の手には一丁の銃。引金を引けば響く銃声、はじけ飛ぶ影の一部。
しかし焼け石に水とばかりに、次から次へと殺到する影の植物たち。
鏑木は、もう一度、引金を引くも――、銃声は響かない。
弾切れのようです。
「くそっ、俺の夢ん中なんだからもうちょい自由になれよなぁ!」
理不尽なようですが、まあ、そう思うのもやむなし。
犬見さんは鏑木と影の植物の間に割って入ることができます。
簡易戦闘。
影の植物のDEXは9(鏑木と一致)。
攻撃は鏑木のキックと同等なので
CCB<=50
回避は鏑木と同等だとマジで避けそうなので初期値で
CCB<=18
HPの設定はない。犬見さんが一撃を与えれば一旦植物は退散する。
犬見さんの一撃を受けて、影の植物はばらばらに崩れ落ちます。
けれど視界を覆う黒い網は消えてくれません。
周囲にはふわふわと黒い埃のようなものが漂っており、ただならぬ気配に満ちています。
……残された時間は、あまり多くはなさそうです。
《鏑木家》
古く小さな一軒家です。低い塀の向こうの庭は荒れていて、長らく手入れがされていません。
また、表札を見るならそれはぼんやりとしており、文字の形をなしていないでしょう。
……おそらく「鏑木」と書いてあるのだろう、と想像はできるでしょうが。
鏑木
「悪ぃな、迷惑かけちまって。鏡にも、根林にも、嫌なこと任せちまった」
「何か根林が気づいて仕掛けてくれたのはわかったんだが、こっちも時間がなさそうだ」
「俺は根林から話を聞くことはできなかったからな、手短にいこう」
「俺は、『これから』『どうすればいい』?」
以下、ロールによって色々変わるのでその場のノリで。
一応選択肢としては「犬見さんが鏑木を殺す」「鏑木が自殺する」の2パターン。
犬見さんが殺害の意志を示すなら、鏑木の方から自殺のアイデアを出すこと。
(鏑木は犬見さんに負担をかけさせたくないので……)
それ以外にも鏑木を確かに「殺す」ことができれば別のパターンもありうる。
どうにせよ、鏑木はこういう。
「助かるために必要なんだろ、気に病むんじゃねえよ……、っつーのは、ちょいと無理筋だろうが」
「なーに、これまでも何度も殺されてきたんだ、あと一回くらい、どうってことはねえさ」
「頼んだぜ、犬見。『あとで』いくらでも埋め合わせはするからよ」
それは、『あと』があるという確信。
これで終わりになどしない、という強い意志。
どういう形であれ「ここにいる鏑木」が死ねば展開する。
鏑木の体が力を失い、アスファルトの上に転がります。
……その瞬間、世界を覆っていた黒い網がばらばらに崩れ始めました。
予定外の挙動、ルーティンにはないタイミングでの「宿主」の死。
その、刹那のバグは、あるいは自己修復可能な範囲だったかもしれません。
けれど、その、生み出されたバグに打ち込まれる白い楔を、犬見さんは見ました。
ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ。
――それは、根林さんが「仕掛けた」楔。
それはほんの少しのバグを、完全な破綻へと導いていきます。
鏡さんが怪異の存在を見出し、根林さんがそれを分析し。
そして、その結末を見届けることは、犬見さんに委ねられました。
閉ざされていた家の扉が開き、そこから、黒い影が溢れ出してきます。
意志らしい意志を持たない、自動的な怪異は、己の「維持」と「増殖」だけを目的に動いており。
故にこそ、最後の足掻きとばかりに――あるいは、もう一度、誰かに根付こうと。
犬見さん、あなたと、それから……、何故か「鏑木が」死んだのに未だそこにいる少年に狙いを定めます。
黒い影は、――植物を纏った、女の姿を取ります。
それは、犬見さんには、「相模原涼」にも「根林未来」にも見えたかもしれません。
あるいは、傍らの少年には、
「おかあさん……?」
――に、見えていたかもしれません。
姿を、輪郭を刻一刻と変えていく、あやふやな、「女」のかたち。
その影を視認した瞬間、背筋を伝う、ざらりとした、嫌な感覚。体の内側に何かが這いまわるような嫌な感触。
それが、怪異によって形を持った、鏑木のむき出しの恐怖、トラウマ――「心の疵」であることを、否応なく理解させられることでしょう。
SANc 1d3+1/1d6+1
それでも、――それでも。
目の前の影は自壊しようとしています。
ここで踏みとどまることができれば、怪異は滅び、悪夢は終わるでしょう。
■戦闘終了条件
以下の「いずれか」を満たした際に戦闘終了となります。
・6ラウンドの経過(怪異の自壊)
・冬虫夏草の怪異の消滅
・犬見さんの死亡・気絶・SAN0
・かぶらき少年の死亡・気絶・SAN0
■冬虫夏草の怪異
1ラウンドに3回行動を行います。
HPが設定されており、また回避は行いません。
※以下KP情報
HP40
全ての攻撃は命中50で判定
・締め付け:1d3ダメージ、以降の自行動前に【STR*5】、失敗で行動不可
・刺突:1d4+2ダメージ
・恐怖の想起:SANc 1d3/1d6
■かぶらき少年の運用
かぶらき少年はこの夢を維持するものであり、ほんの少しだけ「自分の願い」を反映させられます。
かぶらき少年はラウンド3回まで、MPを1d3消費することで以下3点のいずれかを可能とします。
1.犬見さんの再行動
→「失敗した判定の再判定」または「行動の追加」が行えます。
2.犬見さんのHP回復(1d3+2)
3.犬見さんの発狂解除
これはかぶらき少年の行動順とは無関係に、任意のタイミングで可能です。
代わりに、かぶらき少年はSANチェック以外のあらゆる判定を行いません。
また、かぶらき少年はショック判定を行わず、HPが0になるまでは死亡・気絶しません。
(ただしMP0での気絶はあります)
※鏑木の夢ってことは「多少は鏑木の自由になる」ということであり、犬見さんの力になりたいという気持ちは、鏑木も、そしてかぶらき少年も一緒である。あるいは鏑木曰くの「犬見ならこんな奴には負けないだろう?」の気持ちでもあるんだと思う。鼓舞激励、あるいは士気高揚、不撓不屈……。
======
戦闘中の描写や結末はアドリブ。どうなるかわからんので。
======
afterglow:余光、残光、
afterimage:残像。
その面影を忘れたとしても、きっと。
残り続けるものは、ある。
「だから、」
「いいゆめを、みてね」
【報酬】
鏑木の夢から怪異を打ち払った:SAN+2d6
畳む
#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
CoC6版『庭師は何を口遊む』自陣向けに書いたシナリオ、HO3の犬見 勇さん向け。
※この文面には『庭師は何を口遊む』のシナリオのネタバレが含まれます。
■個別トレーラー
・犬見さん
「……戻ったか、犬見」
他部署の応援から戻ってきたあなたに、根林久雄は告げる。
鏡八千草の話は正しかったということ。鏑木の容態が思わしくないということ。
このまま放置すれば、鏑木は消失し、更に被害が拡大するということ。
鏑木を侵すものを食い止める儀式の説明を見つめながら、
あなたは一週間前の、鏑木と赴いた不可解な事件現場を思い出していた。
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■Side: 犬見 勇/特殊ルール
「あなたはこの零課の中で最も屈強な体を持ち、体術などに於いても非常に優れている。」
あなたは、本シナリオにおいて〈挑発〉を使用可能である。
〈挑発〉
この技能はその戦闘ラウンドの間ずっと効力を発揮し続ける。つまり一度成功してしまうと、戦闘が終わるまでの間永続的に機能する。効果は、敵からの攻撃が全て自分に向けられるというものだ。ただし知能数が自分よりも下の獣等にのみ有効である。
〈挑発〉は対人間・神格には利用できない。
(『庭師は何を口遊む』抜粋)
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さて、犬見さん、あなたは今、ちょうど鏑木から指示された他の部署の応援から帰ってきたところです。
応援に出る前に、鏡さんがこう言っていたことを思い出します。
(鏡さんからの宿題の文面を読み上げ)
鏡さんから鏑木の容態についてこのように聞かされていたあなたは、おそらく、不安を抱えていたことでしょう。
そして、零課の執務室に戻った犬見さんを、根林さんが迎えます。
(根林さんからの宿題の文面、情報項目を読み上げ)
鏑木は仮眠室で眠ったままでいます。
……本来、一旦は目覚めるはずなのですが、どうやら症状が深刻になってきているようです。
このまま放置していれば確実に鏑木は消失し、同じ症状が周囲に広まってゆくでしょう。
根林さんは一週間前の話をしました。
そう、あなたは一週間前、鏑木と共に「失踪事件」の捜査に出かけたことを思い出します。
これは本来は零課の仕事ではないのですが、他部署の応援というやつです。
事件の概要としては、前触れもなく失踪してしまった男性の行方の調査です。
(その男性の氏名や詳細については当シナリオには無関係のため割愛し、以降「失踪者」とだけ表記します)
失踪者と同様の「前触れのない失踪」が同一の地域で数件報告されていますが、未だその行方はつかめていません。
犬見さんは、鏑木と共に失踪者の自宅に赴きましたが、行き先の手がかりを見つけることはできませんでした。
……その時のことを、あなたは、思い出すでしょう。
《回想:一週間前》
犬見さんと鏑木は、失踪者の部屋に足を踏み入れました。
マンションの一室。一人暮らしの、そう大きくはなく、それなりに片付いた部屋。
鏑木
「失踪が発覚したのは職場に無断で欠勤し、その後誰も連絡がつかないってことがわかってのことだ」
「監視カメラの記録を見る限り、その前日の夜帰ってきて、それから部屋から出た形跡はなさそうだ」
こじ開けられた鍵、切断されたドアチェーン。
つまり内側からきちんと鍵がかけられていた、ということ。
また、どの窓も固く閉ざされていたということがわかっています。
生活の痕跡はそのまま残されており、何者かの侵入の痕跡もない。
持ち物は全て残されていて、これらに手を付けられた様子もありません。
「一瞬前までベッドで寝てて、そこから突然『消えた』みてえだよな」
「それとも、『悪い夢に連れ去られた』なーんて、こと……、あってたまるかってんだよなァ?」
そう、失踪者の手帳が鞄の中に残されており、その手帳は既に押収されており、その内容を共有されています。
中身はごく普通の仕事のメモとちょっとした日常の記録でしたが、失踪から数日前の日付で「ここしばらくずっと嫌な夢を見ている」という記載があったと報告を受けています。
夢、それが関係あるとでもいうのか。当時の犬見さんはそう思ったことでしょう。
ただ、鏑木はどう思ったのでしょうか、不意に、口を開いたのでした。
「なあ、犬見。お前は、嫌な夢って見るか?」
「夢でなくても『忘れられない』こと、脳裏をぐるぐると巡って止まらなくなるような、光景が、あるか?」
(ここでは「忘れられない辛い思い出」の話をする。基本的には犬見さんの話を肯定的に聞くものとする。鏑木は聞かれたら以下のように答える)
「俺は薄情だし、頭の容量も足らんからな。今のことしか考えられやしねぇ」
「……どんどん、忘れていくもんだ。いいことも、辛いことも、全部」
(適度に話をしたところで切り上げる)
「すまん、無駄口を叩いたな。捜査を続けよう」
しかし、結局、どれだけ捜査をしたところで、失踪者の行方に関わる手がかりを得ることはできませんでした。
かくして、部屋から出ようとしたところで、不意に鏑木が犬見さんの肩を叩きました。
「何かついてたぞ」
「……、いや、見間違いか? 悪ぃな、脅かして」
しかし、その表情はやけに険しいもので。
……そもそも、鏑木が自分から犬見さんに触れることは、記憶の限り今まで一度もなかったと記憶しています。
※ここで、鏑木は犬見さんが怪異に取りつかれそうになっているところを「肩代わり」している。
鏑木の目には「黒い胞子のようなものが飛んでいる」ように見えていて、それが犬見さんに付着していたのを取り除いた(代わりに自分がそれを得た)ということ。
もし犬見さんが質問してきたなら黒い埃のようなものがくっついていた、という言い方をする。ただし犬見さんにはその埃は見えないし、鏑木も「見失った」という。
ともあれ、その日はそれだけでした。
それだけのはず、だったのですが――。
鏑木があの「失踪事件」と同じ状況に陥ろうとしているのは、間違いなさそうです。
そして、どうも「一度夢に入った人物」は二度は干渉できないということのようです。
鏡さんが目にして、根林さんが分析し、そして、今動けるのは犬見さんひとり。
他に適任がいたとしても、それを探している間に鏑木は消失してしまう可能性が高いでしょう。
もし、あなたが望むなら。
鏡さんや根林さんがそうであったように、鏑木の傍に近づけば、すぐにでも、夢に招かれることでしょう。
あなたは、今、知らない住宅街に、一人立っています。
真っ赤に染まった、夕暮れ時の街並み。
ひどく静かで、車の音や人の声や足音、風の音も聞こえません。
その時、空を……あるいは、風景全体を、音もなく黒い網が覆い。
すぐにそれは消えましたが、背筋にぞわりとするような、感覚。
異様な状況にSANc(1/1d3)
……その時、あなたは視線を感じます。
ふ、とあなたが視線を向けた先、塀の陰に何者かがうずくまっています。
ひとりの少年です。
あなたがそちらを見れば、びくりと震えて、おずおずと様子を窺ってくることでしょう。/
《以下フリースタイル》
鏑木少年と出会う。今回の鏑木少年は既に鏑木に会っており「怖いことが起こるかもしれないから隠れていろ」と言われている。
なお相変わらず鏑木は鏑木少年には「お父さん」ということにしているらしい。困ったものであるが一応鏑木にちゃんと聞けば「説明がめんどいのと、あとは、これが俺の夢であるなら、……カスの嘘であろうとも、『信じさせる』のは俺の勝手だろ」ということ。言い方は悪いけど要するに子供のころの自分がかなえられなかったことを、叶えてもいいじゃないか、程度の意味合いである模様。
《鏑木少年ロール指針》
・見た目は小学校高学年~中学一年生くらい(聞かれれば「じゅっさい(=10歳、小学五年生)」と答える)。背は高め(155~160くらい)だがひどく痩せている。フードから覗く髪と目は灰色で、肌の色は薄い。鏑木と同じ特徴。
・一人称は「おれ」。ひらがな多めのたどたどしい口調で喋る。(精神的に見た目・実年齢より幼い)
・最初は酷くおびえている。視線が合わないことに気づかせてもいい。
・いじめない、とわかったら少し明るく喋るようになる。喋り方はわやわやで、相変わらず視線は合わないが。
・やや頭が悪いというか相手の話が半分くらい分かっていないような素振りを見せる。INTというよりはEDUが低いということが伝わるといいな。
・話がある程度落ち着いたところで「おとうさんが、このへんにかくれてろって、いった」「こわいことが、おこるかもしれないから」という。
・父親とおぼしき人物は、怖いことを遠ざけるためにあっち(鏑木家の方面)に向かった、という。
・ただし、犬見さんがついてこさせない、とするなら問題は無い。きちんと諭せばわかってくれる。気が弱いので。
・父親とおぼしき人物は、背が高くて眼鏡をかけてた、という証言をする。詳しく聞けば確か黒いシャツに赤いベストを着てて、ズボンの色は灰色だったと思う、という説明になるかな。適宜状況に合わせて。
・ちなみに鏡さんや根林さんのことは前後関係を忘れつつも覚えている。毎回鏑木のことだけは忘れている。
少し鏑木少年と喋った後に再び視界を覆う黒い網、そして遠方から聞こえる銃声。
少年が「おとうさんがしんぱい」と言い出す。
なお、犬見さんがそちらに向かおうとするなら「おれも、ついていきたい」ということを言う。
少年に案内してもらうことができる。
駆け付ければ、そこには黒い影のような何かがわだかまっています。
それらは植物の姿をかたどっていることがわかるでしょう。
アザレア、アイビー、あるいはそれ以上の、輪郭だけの花々。
それらが首をもたげ、蔦を伸ばして、そこに立つ見慣れたシルエット――鏑木に襲い掛かろうとしているのがわかるでしょう。
鏑木の手には一丁の銃。引金を引けば響く銃声、はじけ飛ぶ影の一部。
しかし焼け石に水とばかりに、次から次へと殺到する影の植物たち。
鏑木は、もう一度、引金を引くも――、銃声は響かない。
弾切れのようです。
「くそっ、俺の夢ん中なんだからもうちょい自由になれよなぁ!」
理不尽なようですが、まあ、そう思うのもやむなし。
犬見さんは鏑木と影の植物の間に割って入ることができます。
簡易戦闘。
影の植物のDEXは9(鏑木と一致)。
攻撃は鏑木のキックと同等なので
CCB<=50
回避は鏑木と同等だとマジで避けそうなので初期値で
CCB<=18
HPの設定はない。犬見さんが一撃を与えれば一旦植物は退散する。
犬見さんの一撃を受けて、影の植物はばらばらに崩れ落ちます。
けれど視界を覆う黒い網は消えてくれません。
周囲にはふわふわと黒い埃のようなものが漂っており、ただならぬ気配に満ちています。
……残された時間は、あまり多くはなさそうです。
《鏑木家》
古く小さな一軒家です。低い塀の向こうの庭は荒れていて、長らく手入れがされていません。
また、表札を見るならそれはぼんやりとしており、文字の形をなしていないでしょう。
……おそらく「鏑木」と書いてあるのだろう、と想像はできるでしょうが。
鏑木
「悪ぃな、迷惑かけちまって。鏡にも、根林にも、嫌なこと任せちまった」
「何か根林が気づいて仕掛けてくれたのはわかったんだが、こっちも時間がなさそうだ」
「俺は根林から話を聞くことはできなかったからな、手短にいこう」
「俺は、『これから』『どうすればいい』?」
以下、ロールによって色々変わるのでその場のノリで。
一応選択肢としては「犬見さんが鏑木を殺す」「鏑木が自殺する」の2パターン。
犬見さんが殺害の意志を示すなら、鏑木の方から自殺のアイデアを出すこと。
(鏑木は犬見さんに負担をかけさせたくないので……)
それ以外にも鏑木を確かに「殺す」ことができれば別のパターンもありうる。
どうにせよ、鏑木はこういう。
「助かるために必要なんだろ、気に病むんじゃねえよ……、っつーのは、ちょいと無理筋だろうが」
「なーに、これまでも何度も殺されてきたんだ、あと一回くらい、どうってことはねえさ」
「頼んだぜ、犬見。『あとで』いくらでも埋め合わせはするからよ」
それは、『あと』があるという確信。
これで終わりになどしない、という強い意志。
どういう形であれ「ここにいる鏑木」が死ねば展開する。
鏑木の体が力を失い、アスファルトの上に転がります。
……その瞬間、世界を覆っていた黒い網がばらばらに崩れ始めました。
予定外の挙動、ルーティンにはないタイミングでの「宿主」の死。
その、刹那のバグは、あるいは自己修復可能な範囲だったかもしれません。
けれど、その、生み出されたバグに打ち込まれる白い楔を、犬見さんは見ました。
ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ。
――それは、根林さんが「仕掛けた」楔。
それはほんの少しのバグを、完全な破綻へと導いていきます。
鏡さんが怪異の存在を見出し、根林さんがそれを分析し。
そして、その結末を見届けることは、犬見さんに委ねられました。
閉ざされていた家の扉が開き、そこから、黒い影が溢れ出してきます。
意志らしい意志を持たない、自動的な怪異は、己の「維持」と「増殖」だけを目的に動いており。
故にこそ、最後の足掻きとばかりに――あるいは、もう一度、誰かに根付こうと。
犬見さん、あなたと、それから……、何故か「鏑木が」死んだのに未だそこにいる少年に狙いを定めます。
黒い影は、――植物を纏った、女の姿を取ります。
それは、犬見さんには、「相模原涼」にも「根林未来」にも見えたかもしれません。
あるいは、傍らの少年には、
「おかあさん……?」
――に、見えていたかもしれません。
姿を、輪郭を刻一刻と変えていく、あやふやな、「女」のかたち。
その影を視認した瞬間、背筋を伝う、ざらりとした、嫌な感覚。体の内側に何かが這いまわるような嫌な感触。
それが、怪異によって形を持った、鏑木のむき出しの恐怖、トラウマ――「心の疵」であることを、否応なく理解させられることでしょう。
SANc 1d3+1/1d6+1
それでも、――それでも。
目の前の影は自壊しようとしています。
ここで踏みとどまることができれば、怪異は滅び、悪夢は終わるでしょう。
■戦闘終了条件
以下の「いずれか」を満たした際に戦闘終了となります。
・6ラウンドの経過(怪異の自壊)
・冬虫夏草の怪異の消滅
・犬見さんの死亡・気絶・SAN0
・かぶらき少年の死亡・気絶・SAN0
■冬虫夏草の怪異
1ラウンドに3回行動を行います。
HPが設定されており、また回避は行いません。
※以下KP情報
HP40
全ての攻撃は命中50で判定
・締め付け:1d3ダメージ、以降の自行動前に【STR*5】、失敗で行動不可
・刺突:1d4+2ダメージ
・恐怖の想起:SANc 1d3/1d6
■かぶらき少年の運用
かぶらき少年はこの夢を維持するものであり、ほんの少しだけ「自分の願い」を反映させられます。
かぶらき少年はラウンド3回まで、MPを1d3消費することで以下3点のいずれかを可能とします。
1.犬見さんの再行動
→「失敗した判定の再判定」または「行動の追加」が行えます。
2.犬見さんのHP回復(1d3+2)
3.犬見さんの発狂解除
これはかぶらき少年の行動順とは無関係に、任意のタイミングで可能です。
代わりに、かぶらき少年はSANチェック以外のあらゆる判定を行いません。
また、かぶらき少年はショック判定を行わず、HPが0になるまでは死亡・気絶しません。
(ただしMP0での気絶はあります)
※鏑木の夢ってことは「多少は鏑木の自由になる」ということであり、犬見さんの力になりたいという気持ちは、鏑木も、そしてかぶらき少年も一緒である。あるいは鏑木曰くの「犬見ならこんな奴には負けないだろう?」の気持ちでもあるんだと思う。鼓舞激励、あるいは士気高揚、不撓不屈……。
======
戦闘中の描写や結末はアドリブ。どうなるかわからんので。
======
afterglow:余光、残光、
afterimage:残像。
その面影を忘れたとしても、きっと。
残り続けるものは、ある。
「だから、」
「いいゆめを、みてね」
【報酬】
鏑木の夢から怪異を打ち払った:SAN+2d6
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#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
アフターグロウ・アフターイメージ/シナリオに書いてないこと
基本的にシナリオで語ってない以上蛇足なのであんまり真に受けないでほしいですが、シナリオ回しながら考えてはあった話を置いておきます。
以下はCoCシナリオ『庭師は何を口遊む』のネタバレを含んでいます。
・かぶらき少年は結局何?
鏑木は中学生くらいの頃まで母親から虐待を受けてましたが、ある時耐えかねて家を飛び出し、その後明確に虐待が発覚したことで家と縁を切り今に至っています。
この「家を飛び出したタイミング」で、鏑木は過去の自分と意識的に決別をしており、この時かぶらき少年を「殺した」とばかり思っていました。
なので、かぶらき少年の存在と、家に帰りたくなかった少年の「終わらない夕暮れの街」は鏑木が普段は意識していない、過去に切り離したはずの苦痛の日々の記憶です。
それでも、今となっては、完全に切り離したい・捨て去りたい悪夢というよりも「痛みはあるけど懐かしい」ものとして認識されています。
かぶらき少年が鏑木を自分自身と認識できないし三人のことを知らないのは、鏑木本人が過去の自分を「別物」として切り離しているからです。
ただし、これは夢の中で鏑木が自殺して一時的に夢のコントロール主導権を受け取ったことで、少しだけお互いにリンクが生まれたのか、かぶらき少年は最後には鏑木のことを『おれ』と認識していますし、鏑木も夢の中のことをおぼろげに思い出すことができるようになっています。
また、鏑木が自殺で即死しなかったのも、コントロールを委ねられるかぶらき少年がまだその場に残っていたからです。切り離したといいつつ、ふたりでひとつ、なんですよね。
ちなみに、かぶらき少年は小学五年生くらいの鏑木の姿。「一番つらかった時」の姿のことは、本当に思い出せないのかもしれません。
・「おとうさん」のこと
鏑木家の家族構成は母親一人です。
父親は鏑木が物心つく前に蒸発しており、つまり鏑木(かぶらき少年)は父親の顔を知りません。
ただ、母親は幼い鏑木に消えたその人の話をことあるごとにしており、その人が帰ってくることを待ち望んでおり、その際に「お前は父親によく似ている」と語っていたため、かぶらき少年は今の鏑木を「帰ってきた父親」と誤認するようになっていました。
この当時のかぶらき少年は「父親が帰ってくれば母親も喜んでくれる」と素直に信じていられる程度には純粋だったため。
鏡さんのときはその誤認すら許してもらえなかったけど……w
鏑木が自分が父親だと嘘をつくのは、上記の通り過去の自分が今を認識できていない以上は、ろくな目に遭ってこなかった過去の自分が、この瞬間だけでも心安らかにあれるよう願ってのことです。
・冬虫夏草の怪異
基本的にはシナリオに書いてある通りの存在です。
発見されたばかりで固有の名前はなく、おそらく神話生物の類ですがその辺りの分析は進んでいません、この時点では。
鏑木の夢に巣食っていたので鏑木の忘れたかったことやトラウマを反映させていましたが、対面した人の心の疵も想起させる存在です。
そのため、鏑木視点で「相模原涼」のように見えている影は、対面した犬見さんには「根林未来」のように見え、かぶらき少年には「おかあさん」に見えたわけです。
女の姿をしていたのは単純に鏑木が「女性」に対してめっちゃ隔意を持っているからです。嫌いというよりも心の疵からくる隔意ですね。
なので別の人の夢の中では全く違う姿で見えると思います。
なおその後も「失踪事件」はちょこちょこ発生するのですが、それに伴って怪異に対する情報も広められていき、情報の流布と同時に「弱点」も付与されていくことで、今回のような無茶な対策以外の対策も可能になることでしょう。
それが進めばやがては怪異の存在も取るに足らないものになると考えられています。
この辺りは後のシナリオフックにしたいな、と思っています。
それこそハッカー(というか単純に〈コンピューター〉技能が得意な人)探索者との1on1シナリオかなんか作れたらいいな~と思ってるんですよね。
・猫スレの主
特別ゲストのモッキンバード( >>2124 )。
もうちょい正確には「不知火諒の趣味の姿のひとつ」。
・そういえばその後鏑木どうなったの?
流石に緊張の糸が切れて体調が悪化し、大人しく入院しました。
でも三日くらいで当たり前のように帰ってきました。そういうやつだよね。
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目次 >>2154
#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
基本的にシナリオで語ってない以上蛇足なのであんまり真に受けないでほしいですが、シナリオ回しながら考えてはあった話を置いておきます。
以下はCoCシナリオ『庭師は何を口遊む』のネタバレを含んでいます。
・かぶらき少年は結局何?
鏑木は中学生くらいの頃まで母親から虐待を受けてましたが、ある時耐えかねて家を飛び出し、その後明確に虐待が発覚したことで家と縁を切り今に至っています。
この「家を飛び出したタイミング」で、鏑木は過去の自分と意識的に決別をしており、この時かぶらき少年を「殺した」とばかり思っていました。
なので、かぶらき少年の存在と、家に帰りたくなかった少年の「終わらない夕暮れの街」は鏑木が普段は意識していない、過去に切り離したはずの苦痛の日々の記憶です。
それでも、今となっては、完全に切り離したい・捨て去りたい悪夢というよりも「痛みはあるけど懐かしい」ものとして認識されています。
かぶらき少年が鏑木を自分自身と認識できないし三人のことを知らないのは、鏑木本人が過去の自分を「別物」として切り離しているからです。
ただし、これは夢の中で鏑木が自殺して一時的に夢のコントロール主導権を受け取ったことで、少しだけお互いにリンクが生まれたのか、かぶらき少年は最後には鏑木のことを『おれ』と認識していますし、鏑木も夢の中のことをおぼろげに思い出すことができるようになっています。
また、鏑木が自殺で即死しなかったのも、コントロールを委ねられるかぶらき少年がまだその場に残っていたからです。切り離したといいつつ、ふたりでひとつ、なんですよね。
ちなみに、かぶらき少年は小学五年生くらいの鏑木の姿。「一番つらかった時」の姿のことは、本当に思い出せないのかもしれません。
・「おとうさん」のこと
鏑木家の家族構成は母親一人です。
父親は鏑木が物心つく前に蒸発しており、つまり鏑木(かぶらき少年)は父親の顔を知りません。
ただ、母親は幼い鏑木に消えたその人の話をことあるごとにしており、その人が帰ってくることを待ち望んでおり、その際に「お前は父親によく似ている」と語っていたため、かぶらき少年は今の鏑木を「帰ってきた父親」と誤認するようになっていました。
この当時のかぶらき少年は「父親が帰ってくれば母親も喜んでくれる」と素直に信じていられる程度には純粋だったため。
鏡さんのときはその誤認すら許してもらえなかったけど……w
鏑木が自分が父親だと嘘をつくのは、上記の通り過去の自分が今を認識できていない以上は、ろくな目に遭ってこなかった過去の自分が、この瞬間だけでも心安らかにあれるよう願ってのことです。
・冬虫夏草の怪異
基本的にはシナリオに書いてある通りの存在です。
発見されたばかりで固有の名前はなく、おそらく神話生物の類ですがその辺りの分析は進んでいません、この時点では。
鏑木の夢に巣食っていたので鏑木の忘れたかったことやトラウマを反映させていましたが、対面した人の心の疵も想起させる存在です。
そのため、鏑木視点で「相模原涼」のように見えている影は、対面した犬見さんには「根林未来」のように見え、かぶらき少年には「おかあさん」に見えたわけです。
女の姿をしていたのは単純に鏑木が「女性」に対してめっちゃ隔意を持っているからです。嫌いというよりも心の疵からくる隔意ですね。
なので別の人の夢の中では全く違う姿で見えると思います。
なおその後も「失踪事件」はちょこちょこ発生するのですが、それに伴って怪異に対する情報も広められていき、情報の流布と同時に「弱点」も付与されていくことで、今回のような無茶な対策以外の対策も可能になることでしょう。
それが進めばやがては怪異の存在も取るに足らないものになると考えられています。
この辺りは後のシナリオフックにしたいな、と思っています。
それこそハッカー(というか単純に〈コンピューター〉技能が得意な人)探索者との1on1シナリオかなんか作れたらいいな~と思ってるんですよね。
・猫スレの主
特別ゲストのモッキンバード( >>2124 )。
もうちょい正確には「不知火諒の趣味の姿のひとつ」。
・そういえばその後鏑木どうなったの?
流石に緊張の糸が切れて体調が悪化し、大人しく入院しました。
でも三日くらいで当たり前のように帰ってきました。そういうやつだよね。
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目次 >>2154
#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
アフターグロウ・アフターイメージ
afterglow:余光、残光
afterimage:残像
その面影を忘れたとしても、きっと。
残り続けるものは、ある。
■シナリオ
・Side: 鏡 八千草 >>2128
・Side: 根林 久雄 >>2129
・Side: 犬見 勇 >>2157
■蛇足
・絵 >>2158
・作るときに考えていたこと >>2132
・シナリオに書いてないこと >>2155
・あとがき >>2160
#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
afterglow:余光、残光
afterimage:残像
その面影を忘れたとしても、きっと。
残り続けるものは、ある。
■シナリオ
・Side: 鏡 八千草 >>2128
・Side: 根林 久雄 >>2129
・Side: 犬見 勇 >>2157
■蛇足
・絵 >>2158
・作るときに考えていたこと >>2132
・シナリオに書いてないこと >>2155
・あとがき >>2160
#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
アフターグロウ・アフターイメージ/作る時に考えてたこと
シナリオを作るにあたってぼんやり考えていたこと。
以下はCoCシナリオ『庭師は何を口遊む』のネタバレを含んでいます。
・それぞれのメンバーの特徴を生かしたシナリオにしたい
→鏡さんは「器用さ」をデータ的にわかりやすくしたかったので「DEXでの代替判定」を可能とした。
→根林さんは「メカニックとしての腕」を見たかったのでハッキング勝負の時に単純な〈コンピューター〉の能力だけでなく〈電子工学〉がプラスできるようにした。
→犬見さんは本編で見られなかった〈挑発〉をガンガン使うシーンが欲しかったのでシンプルに〈挑発〉の使いどころをご用意。ロストしないがちょっとドキっとするくらいの塩梅、かつオープンダイスなのでどこぞで見たような援護を用意。
・本編で見られなかったシチュエーションいれたい
→その中でも「子供に対する零課の面々」をやりたかった
→結果的に「子供の鏑木」が出てきているが、別にそれが鏑木かどうかにかかわらず「子供を出した時にどう対応するか」が見れてハッピー。
→代わりに鏑木本人との会話シーン減ってない? それはそう。今度は四人でわちゃわちゃするのもやりたいな……。
・鏑木の過去に関わる話ではあるけど自分語りに終始しないようにする
→主人公は! あくまで! 来てくれたメンバーたちなので!
→蛇足は書いてるけどまあまあ。
・鏑木一人で終始しない出来事であってほしい
→「三人が関わらないと解決できないこと」である必要がある
→モチベーションとして念のため「他人に危害が及ぶ可能性がある」を提示する
→でも「鏑木が大変」だけでもだいじょぶではあったかも。
積極的に解決に向けて動いてもらえて嬉しかったな……。
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#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
シナリオを作るにあたってぼんやり考えていたこと。
以下はCoCシナリオ『庭師は何を口遊む』のネタバレを含んでいます。
・それぞれのメンバーの特徴を生かしたシナリオにしたい
→鏡さんは「器用さ」をデータ的にわかりやすくしたかったので「DEXでの代替判定」を可能とした。
→根林さんは「メカニックとしての腕」を見たかったのでハッキング勝負の時に単純な〈コンピューター〉の能力だけでなく〈電子工学〉がプラスできるようにした。
→犬見さんは本編で見られなかった〈挑発〉をガンガン使うシーンが欲しかったのでシンプルに〈挑発〉の使いどころをご用意。ロストしないがちょっとドキっとするくらいの塩梅、かつオープンダイスなのでどこぞで見たような援護を用意。
・本編で見られなかったシチュエーションいれたい
→その中でも「子供に対する零課の面々」をやりたかった
→結果的に「子供の鏑木」が出てきているが、別にそれが鏑木かどうかにかかわらず「子供を出した時にどう対応するか」が見れてハッピー。
→代わりに鏑木本人との会話シーン減ってない? それはそう。今度は四人でわちゃわちゃするのもやりたいな……。
・鏑木の過去に関わる話ではあるけど自分語りに終始しないようにする
→主人公は! あくまで! 来てくれたメンバーたちなので!
→蛇足は書いてるけどまあまあ。
・鏑木一人で終始しない出来事であってほしい
→「三人が関わらないと解決できないこと」である必要がある
→モチベーションとして念のため「他人に危害が及ぶ可能性がある」を提示する
→でも「鏑木が大変」だけでもだいじょぶではあったかも。
積極的に解決に向けて動いてもらえて嬉しかったな……。
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#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
アフターグロウ・アフターイメージ/Side: 根林 久雄
CoC6版『庭師は何を口遊む』自陣向けに書いたシナリオ、HO2の根林 久雄さん向け。
※この文面には『庭師は何を口遊む』のシナリオのネタバレが含まれます。
■個別トレーラー
「二人とも、話を聞く体勢になってくれてありがとう」
鏡八千草の話は、不可解ながらも現在の鏑木の状況には合致していた。
しかし、「何故」そうなったのか、そして「どうすれば」解消できるのか。
それらは、あなたでなければ調べあげることは難しい。
鏑木が悪夢を見ようが知ったことではないが、零課の仕事が滞るどころか、
明確な被害が出る可能性を知った以上、見て見ぬふりもできない。
======
■Side: 根林 久雄/特殊ルール
「あなたは天才だ。こと機械に於いて、右に出るものは居ない。」
あなたは、本シナリオにおいて特定の【抵抗表】を振る際、その天才性をもって〈コンピューター〉と〈電子工学〉の合計値/10(端数切り捨て)を能動・受動の値として使用することができる。
あなたは〈コンピューター〉90、〈電子工学〉31のため【抵抗表】に使用できる値は12となる。
======
さて、根林 久雄さん。
あなたは今、零課の資料保管庫で鏡さんと向かい合っています。
あなたの傍らには犬見さんもいます。
鏑木? 鏑木はですね。
鏡さんがお二人を呼んだ時に「何なに? 何の話?」ってのこのこ寄ってきたんですが。
「チーフは仕事が溜まっているでしょう。そちらを済ませてからにしてください」
と、鏡さんに一刀両断され、すごすご自席に戻っていきました。この班の力関係がよくわかりますね。
ともあれ、鏡さんはいたって真剣な――緊張感に満ちた表情で、あなた方に向き合っています。
どうも、いい話ではなさそうだ、と、思うことでしょう。
あなた方二人に向けて、鏡さんは声を潜めて話を始めます。
(鏡さんからの宿題の文面を読み上げ)
以下質疑。鏡さんの知ってる範囲でならあざらしが答えること。
適度なところで切り上げること。
保管庫から出たところで、鏑木から声がかかる。
「鏡、犬見、悪いがちょっと今から出てくれねぇか」
「応援の要請だ。近頃多いんだよなぁ」
「俺もちょいと上から呼ばれてっから、出頭してくる」
出頭って言うな。
「根林、二人のサポートは頼んだぜ」
というわけで、零課の執務室には根林さん、あなた一人が残されました。
鏑木から預かった情報をざっと見る限り、普段の仕事に比べたらどうってことはない内容です。
あなたの腕にかかれば、サポートは十二分にできるでしょう。
その片手間に調査をすることも、可能であると思われます。
そう、鏑木が悪夢を見ようが知ったことではありません、が。
零課の仕事が滞るどころか、明確な被害が出る可能性を知った以上、見て見ぬふりもできません。
……全く、あのチーフは、よくよく厄介ごとを抱え込むものです。
シーン変更:コンピューター
【調査項目】
1:鏑木が悪夢を見るようになったきっかけ
2:繰り返す悪夢の噂
3:冬虫夏草に似た性質の怪異
1:鏑木が悪夢を見るようになったきっかけ
鏑木が悪夢の話をするようになったのは、一週間ほど前からだったように思います。
鏡さんも「現実でのここ一週間の不調」と言っていたので、大体間違いなさそうです。
その上で、一週間ほど前に鏑木に何が特別なことがあったか、思い出してみようとします。
〈アイデア〉
基本情報
近頃、あなた方零課は「失踪事件」について調査しています。
これは本来は零課の仕事ではないのですが、他部署の応援というやつです。
事件の概要としては、前触れもなく失踪してしまった男性の行方の調査です。
(その男性の氏名や詳細については当シナリオには無関係のため割愛し、以降「失踪者」とだけ表記します)
失踪者と同様の「前触れのない失踪」が同一の地域で数件報告されていますが、未だその行方はつかめていません。
成功なら以下情報を開示、失敗していたら
〈図書館〉or〈コンピューター〉で追加調査が可能
一週間前、別部署からの応援要請を受け、捜査に当たったのは鏑木と犬見さんです。
失踪者の自宅に赴きましたが、行き先の手がかりを見つけることはできませんでした。
ただ、直前までの生活の痕跡があり、何者かに侵入されたような痕跡もなかったようです。
持ち物も全て部屋に残されており、これらに手を付けられた様子もありません。
それこそ一瞬前までベッドで寝ていて、そこから突然「消えた」かのような異様さだ、と鏑木がぼやいていたのを思い出せるでしょう。
また、失踪者の手帳が鞄の中に残されており、その手帳は既に押収されています。
内容としてはごく普通の仕事のメモとちょっとした日常の記録と思われましたが、失踪から数日前の日付で「ここしばらくずっと嫌な夢を見ている」という記載がありました。
2:繰り返す悪夢の噂
夢、というものにまつわる話はいくつも見つかります。
学術的な話から、オカルト的な話まで。それこそ「前世の記憶が~」とか「運命の人が~」とか、関係ないものもたくさん引っ掛かって辟易するでしょう。
さて、その中で「繰り返す悪夢」に絞った場合、ここ数ヶ月のうちにいくつか興味深い報告があることがわかります。
自分の過去の思い出の風景の中で殺され続ける夢を見ている、そんな報告がSNSにちらほら上がっています。
また、それらの報告の数日後には、ぱたりとSNSの更新が止まっています。
もし、これがチーフと同じ状況だとすれば……?
SANc 0/1
3:冬虫夏草に似た性質の怪異
まず、冬虫夏草とは何か、ということについて調べてみれば、以下のような情報を得られるでしょう。
冬虫夏草/Ophiocordyceps sinensis
冬虫夏草(とうちゅうかそう)は、子囊菌類のきのこの一種で、土中の昆虫類に寄生した菌糸から地上に子実体を作る。中医学・漢方の生薬や、薬膳料理・中華料理などの素材として用いられる。
(Wikipedia『冬虫夏草』 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%AC%... 2024/09/26現在)
その上で、調査が可能です。
〈オカルト〉
基本情報
人の精神に寄生する怪異については様々な噂が存在します。
脳の中に入り込み、人間の記憶を読み取り、影響を与える昆虫のような姿のもの、だとか。
実はあまねく人類の意識の中に住み着いており、人類が自覚することはできない存在、だとか。
成功
しかし、「人の精神に住まい、宿主の精神を食い尽くした時点で胞子を撒く」という性質の怪異は確認されていないことがはっきりします。
似たような噂はちらほらありますが、完全に一致する特徴のものは観測されていない、ということでしょう。
失敗
しかし、「人の精神に住まい、宿主の精神を食い尽くした時点で胞子を撒く」という性質の怪異について、なかなか一致する情報は得られません。
(両方調べ終わったところで)
さて、インターネット上でオカルトの噂を調べていると、ひとつ、興味深い噂を見かけます。
何でも今や廃れつつある匿名掲示板の片隅に、「猫の写真一枚で何でも教えてくれるスレ」が存在するとか。
その噂自体がややオカルトじみてますが、現時点で他に頼れるものもありません。
根林さんなら、すぐにその所在を突き止めることができるでしょう。
>「猫の写真一枚で何でも教えてくれるスレ」に向かう
その掲示板のスレッドには、多数の猫の写真が溢れています。かわいいですね。
また、以下のルールが提示されています。
1:スレに猫の写真を貼りさえすれば質問はスレに書き込むでも、掲示板に書かれたメアドへの送付でもOK
2:自ら撮影、あるいは譲り受けた猫の写真であること。拾い物は不可
3:連絡先(メール、各種SNSのDM等個人的なやり取りが可能なもの)を明記すること
実際、ルールに反した拾い物の猫写真は即座に削除されるようです。スレ主、何者?
猫の写真の入手手段はお任せします。
ちなみに、最近署の周辺でもやけに人懐こい三毛猫が見かけられています。
余談として、執務室暮らしの鏑木が夜な夜なその猫に威嚇していたところが目撃されています。
鏑木、動物は好きなのですが接近されると威嚇せずにはいられないので……。
>猫の写真を入手
猫の写真と共に情報を求める旨を送付すれば、即座に返事がきます。
ling_nekonekoとか何かすげー適当なアカウントだと思います。
『はじめまして! 素敵な猫のお写真ありがとう。こちらは警察の猫ちゃんだよね? 近頃住み着いたみたいだよね』
『知りたいことはなんでも。もちろん、「全て」がわかるほど万能ではないけど』
『それでも、君の質問にはだいたい答えられるよ』
======
◆冬虫夏草の怪異
人の精神世界に住み着く怪異。
胞子の形で宿主に取りつき、宿主の記憶から夢の世界を構築し、その内部で増殖する。
宿主からは「思い出の風景の中で、延々と殺され続ける悪夢」のように思われる。
やがて宿主の精神が怪異に屈した時、怪異は宿主の精神を食らいつくし、宿主は肉体ごと現実世界から消失する。
消失の際、怪異は不可視の胞子を撒くことで周辺の人間に取りつき、再び夢の世界に根付くことで勢力を拡大する。
ごく最近、見出された怪異であり、書籍やネットで情報を得ることは難しい。
また、発見された例が少なすぎるため現時点でこの怪異に名称は存在しない。
======
『ごく最近の怪異、とはいえ、近頃多発している失踪事件はこれが原因だと思うんだよね』
『本当は対策も知ってる。でも、言いづらい理由がある』
『それにさ、君だって知っているだろう? この手の怪異は「ルール」さえ広まってしまえばどうってことはない』
『妖怪だって都市伝説だって、人の中で流布されるにつれてどんどん弱点がつけられていくし、解釈が進められていく。そうして、怪異は怪異でなくなっていく。こいつもその例に漏れないはずだ』
『ただ、君たちはそれを待つには時間が足りない……、それもそうだろうね』
『そうだな、もしこれ以上を「知りたい」なら、ボクと勝負してくれないかな、「ゼロ」の天才メカニック?』
『お察しの通り、ボクもそれなりに天才を標榜する「魔法使い(Wizard)」でね』
『君の知りたいことは、ボクのお城にぜーんぶ隠してるのさ』
『さあ、君のやる気と、そのやる気を現実にするための能力を、ボクに見せてよ!』
「猫スレの主」とのハッキング勝負になります。
猫スレの主が隠している情報にアクセスするための判定です。
======
◆猫スレの主との勝負
〈コンピューター〉/10(端数切り捨て)を能力値相当として【抵抗表】で勝負します。
今回はハッキングを「仕掛ける」根林さんが能動側、猫スレの主が受動側として扱います。
これを3回振り、2回以上成功した場合根林さんの勝利となります。
======
また、特殊ルールを公開します。
今回の【抵抗表】の判定は特殊ルールが適用可能です。
そのため、根林さんの使用できる値は12となります。
猫スレの主の〈コンピューター〉は95のため使用できる値は端数切り捨てで9。
つまりRESB(12-9)で判定を行っていただきます。
勝利
『さすが~。楽しいゲームをありがとう!』
『それに、その「腕」があれば、きっと何とかできるだろう』
『君もオカルトに精通していれば当然知ってるんじゃないかな。「呪詛を破る」には、高いリスクがつきものだ。失敗すれば、呪詛はさらに凶悪さを増して辺りを侵蝕し、破らなかった時よりも被害が拡大しかねない』
『それはもちろん、この手の怪異にも共通している』
『だから、ある種の腕前が必要なんだ。確実に呪詛破りを成功させる腕、仮に失敗してもねじ伏せるだけの腕。君にはそれがあるんだろうよ』
猫スレの主のデータベースにアクセスすれば、これらの情報が得られるでしょう。
======
◆冬虫夏草の怪異:対策
1:祓い手が宿主の夢に潜り、怪異を祓う特定の術式を埋め込む。
2:夢の中の宿主を、怪異に殺される前に殺害する。
3:怪異が消滅するまで時間を稼ぐ。
======
『この怪異は、どうもプログラムめいていてね。「夢の中の宿主」を殺しては夢をリセットする、という挙動をしているけれど、その一連の動作にバグを発生させたとき、怪異が消滅し宿主が生き残ったという事例の報告がある』
『とはいえ、極めてリスキーだ。1を失敗すれば怪異は警戒して以降の難易度が上がるだろう。2は、怪異のルーチンをバグらせるために必須の手続きだけど、祓い手にも宿主にも負担がかかる。下手したらこれで宿主が死ぬ可能性もある』
『2を成功させれば、怪異はバグって自己破綻を起こし消滅する。ただ、その際に怪異は宿主の夢と、夢に入り込んだ祓い手をめちゃくちゃにしようとするだろう。……それに耐えきる必要がある』
『ああ、あと、祓い手は「一人」である必要はないよ』
『実際、夢の中に入れる時間はそう長くないだろうしね、一回の試行のタイムリミットは「夢の中の宿主が怪異に殺されるまで」だから』
『術式を仕掛けるのに一人。怪異を消滅させる手続きに一人。そんなところだろう』
(あざらし注:根林さんには1の儀式、犬見さんに2と3の儀式をお願いします)
『君に、術式を教えておく。夢の中に……、そうだな、三箇所、あるいは四箇所くらい埋め込めると怪異が消滅する際の余波を幾分防げると思う。宿主の記憶に強く焼き付いてる場所に埋め込むと効果的だと思うよ』
======
◆術:目覚めの楔
猫スレの主が教えてくれた、冬虫夏草の怪異が発生させる「夢」に楔を打ち込む術式。
MPを1d3消費することで使用可能、失敗した場合追加でMP1d3消費で再挑戦可能。
MPが0になった際には夢から追い出される。また、現在MPは1に戻る。
一種のプログラムの形をしており、怪異との〈コンピューター〉/10(端数切り捨て)を基準とした【抵抗表】判定を成功させる必要がある。
術者が能動、怪異が受動となり、怪異の能力値はその際開示される。
※当シナリオの特殊ルールが適用可能。
======
『それじゃ、グッドラック、根林サン、それから「ゼロ」の皆々様』
その時点で鏑木が一旦帰ってくる。
そして一言二言会話をしたらふらふらと仮眠室の方に向かう。何かそろそろ限界っぽいね。
◆前回のあらすじ
根林さんは、鏡さんから鏑木が「自分が殺される悪夢」に苦しんでいることを聞かされます。
また、それが何らかの不可解な存在による影響であるらしい、ということも。
それは一週間前に捜査を担当した失踪事件とも無関係ではなさそうで、放置しておけば鏑木もまた突然この世から姿を消し、かつ同じ症状を周囲にばら撒くであろうことがわかります。
実家の猫の写真と引き換えに「冬虫夏草の怪異」の情報を得た根林さんは、鏑木の夢に入り込み、その目で怪異を目にしたわけですが――。
根林さんは、その目で「冬虫夏草の怪異」を目にすることで、この怪異を祓うにはどうも三つの手順が必要であるらしい、ということに気づきました。
猫の写真と交換で得た情報と総合するに、この怪異は、どうもプログラムめいた存在である、ということ。
「夢の中の宿主」を殺しては夢をリセットすることを繰り返す、という挙動であるなら、その挙動の中にイレギュラーな動作を差し込めば、怪異のルーチンをバグらせることができるのではないか、ということ。
ただ、そのためには、以下のリスクがあるということも、根林さんには理解できるでしょう。
1:祓い手が宿主の夢に潜り、怪異を払う特定の術式を埋め込む。
これは怪異を祓い切るために必須ではないものの、怪異の影響力を削ぎ、以降の手続きで怪異に宿主と祓い手が害される可能性を下げるものです。
ただし、失敗すれば怪異は警戒して以降の難易度が上がることになるでしょう。
2:夢の中の宿主を、怪異に殺される前に殺害する。
怪異のルーチンをバグらせるために必須の手続きです。
「宿主を殺して夢をリセットする」のが怪異のルーチンであるなら、怪異に殺される前に宿主を殺害することで、「ありえない」挙動を発生させることが可能でしょう。
しかし、祓い手にも宿主にも負担がかかります。この手続きで宿主が死ぬ可能性もあるでしょう。
3:怪異が消滅するまで時間を稼ぐ。
2を成功させれば、怪異はバグによる自己破綻を起こし消滅するでしょう。
ただし、その際に怪異は宿主の夢と、夢に入り込んだ祓い手をめちゃくちゃにしようとするでしょう。宿主と祓い手はそれに耐えきる必要があります。
また、これらの手続きを全て一度の夢で行うのは難しいということも理解できるでしょう。
しかし、祓い手は根林さん一人である必要はありません。
「後に繋ぐ」ということを意識してもいいでしょう。
1の手続きに必要な儀式を開示します。
このプログラムを、夢の中に三箇所、あるいは四箇所くらい埋め込めると怪異が消滅する際の余波を幾分防げる、そう根林さんは思うでしょう。
この夢の中に、それぞれ位置を変えて仕掛けられるとよいのですが、果たしてそのような「場所」があるでしょうか。
……もしかすると、その「場所」については。
今、あなたの目の前にいる、どこかで見たような顔の少年が、知っているかもしれませんが。
フードの少年は、電信柱の陰から恐る恐るあなたをうかがっています。
《以下フリースタイル》
鏑木少年と出会う。鏑木少年に協力を求めれば、最初は警戒を見せるがやがて協力してくれる。
《鏑木少年ロール指針》
・見た目は小学校高学年~中学一年生くらい(聞かれれば「じゅっさい(=10歳、小学五年生)」と答える)。背は高め(155~160くらい)だがひどく痩せている。フードから覗く髪と目は灰色で、肌の色は薄い。鏑木と同じ特徴。
・一人称は「おれ」。ひらがな多めのたどたどしい口調で喋る。(精神的に見た目・実年齢より幼い)
・最初は酷くおびえている。視線が合わないことに気づかせてもいい。
・いじめない、とわかったら少し明るく喋るようになる。喋り方はわやわやで、相変わらず視線は合わないが。
・やや頭が悪いというか相手の話が半分くらい分かっていないような素振りを見せる。INTというよりはEDUが低いということが伝わるといいな。
・話がある程度落ち着いたところで「おとうさんを探している」ということを伝えること。詳しく聞くと、父親は家にいないこと、父親のことはよく知らないこと、その上で、先程父親らしき人物を見つけて追いかけてきたことを語る。父親と判断した理由は「おれににてる」から。
・父親を探している理由は「母親に会わせたい」から。母親は寂しそうで、いつも父親の話をしている、という話を付け加えてもいい。
・父親とおぼしき人物は、背が高くて眼鏡をかけてた、という証言をする。詳しく聞けば確か黒いシャツに赤いベストを着てて、ズボンの色は灰色だったと思う、という説明になるかな。適宜状況に合わせて。
根林さんが介入を行おうとしているのに気づいたのでしょうか。
ざわり、と、周囲の影がざわめきます。
【抵抗表】判定を行います。
根林さんは能動側で12、怪異は受動側で5になります。
======
ここからは何も書いてなかったので、完全にアドリブで進行していました。
======
【宿題】
次回の犬見さんのシナリオまでに、
「根林さんは犬見さんに何を伝えたのか?」
を根林さんの言葉(あるいは残した文面)でまとめていただけると助かります。
よろしくお願いいたします。
【報酬】
鏑木の夢に楔を打った:SAN+2d3
畳む
#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
CoC6版『庭師は何を口遊む』自陣向けに書いたシナリオ、HO2の根林 久雄さん向け。
※この文面には『庭師は何を口遊む』のシナリオのネタバレが含まれます。
■個別トレーラー
「二人とも、話を聞く体勢になってくれてありがとう」
鏡八千草の話は、不可解ながらも現在の鏑木の状況には合致していた。
しかし、「何故」そうなったのか、そして「どうすれば」解消できるのか。
それらは、あなたでなければ調べあげることは難しい。
鏑木が悪夢を見ようが知ったことではないが、零課の仕事が滞るどころか、
明確な被害が出る可能性を知った以上、見て見ぬふりもできない。
======
■Side: 根林 久雄/特殊ルール
「あなたは天才だ。こと機械に於いて、右に出るものは居ない。」
あなたは、本シナリオにおいて特定の【抵抗表】を振る際、その天才性をもって〈コンピューター〉と〈電子工学〉の合計値/10(端数切り捨て)を能動・受動の値として使用することができる。
あなたは〈コンピューター〉90、〈電子工学〉31のため【抵抗表】に使用できる値は12となる。
======
さて、根林 久雄さん。
あなたは今、零課の資料保管庫で鏡さんと向かい合っています。
あなたの傍らには犬見さんもいます。
鏑木? 鏑木はですね。
鏡さんがお二人を呼んだ時に「何なに? 何の話?」ってのこのこ寄ってきたんですが。
「チーフは仕事が溜まっているでしょう。そちらを済ませてからにしてください」
と、鏡さんに一刀両断され、すごすご自席に戻っていきました。この班の力関係がよくわかりますね。
ともあれ、鏡さんはいたって真剣な――緊張感に満ちた表情で、あなた方に向き合っています。
どうも、いい話ではなさそうだ、と、思うことでしょう。
あなた方二人に向けて、鏡さんは声を潜めて話を始めます。
(鏡さんからの宿題の文面を読み上げ)
以下質疑。鏡さんの知ってる範囲でならあざらしが答えること。
適度なところで切り上げること。
保管庫から出たところで、鏑木から声がかかる。
「鏡、犬見、悪いがちょっと今から出てくれねぇか」
「応援の要請だ。近頃多いんだよなぁ」
「俺もちょいと上から呼ばれてっから、出頭してくる」
出頭って言うな。
「根林、二人のサポートは頼んだぜ」
というわけで、零課の執務室には根林さん、あなた一人が残されました。
鏑木から預かった情報をざっと見る限り、普段の仕事に比べたらどうってことはない内容です。
あなたの腕にかかれば、サポートは十二分にできるでしょう。
その片手間に調査をすることも、可能であると思われます。
そう、鏑木が悪夢を見ようが知ったことではありません、が。
零課の仕事が滞るどころか、明確な被害が出る可能性を知った以上、見て見ぬふりもできません。
……全く、あのチーフは、よくよく厄介ごとを抱え込むものです。
シーン変更:コンピューター
【調査項目】
1:鏑木が悪夢を見るようになったきっかけ
2:繰り返す悪夢の噂
3:冬虫夏草に似た性質の怪異
1:鏑木が悪夢を見るようになったきっかけ
鏑木が悪夢の話をするようになったのは、一週間ほど前からだったように思います。
鏡さんも「現実でのここ一週間の不調」と言っていたので、大体間違いなさそうです。
その上で、一週間ほど前に鏑木に何が特別なことがあったか、思い出してみようとします。
〈アイデア〉
基本情報
近頃、あなた方零課は「失踪事件」について調査しています。
これは本来は零課の仕事ではないのですが、他部署の応援というやつです。
事件の概要としては、前触れもなく失踪してしまった男性の行方の調査です。
(その男性の氏名や詳細については当シナリオには無関係のため割愛し、以降「失踪者」とだけ表記します)
失踪者と同様の「前触れのない失踪」が同一の地域で数件報告されていますが、未だその行方はつかめていません。
成功なら以下情報を開示、失敗していたら
〈図書館〉or〈コンピューター〉で追加調査が可能
一週間前、別部署からの応援要請を受け、捜査に当たったのは鏑木と犬見さんです。
失踪者の自宅に赴きましたが、行き先の手がかりを見つけることはできませんでした。
ただ、直前までの生活の痕跡があり、何者かに侵入されたような痕跡もなかったようです。
持ち物も全て部屋に残されており、これらに手を付けられた様子もありません。
それこそ一瞬前までベッドで寝ていて、そこから突然「消えた」かのような異様さだ、と鏑木がぼやいていたのを思い出せるでしょう。
また、失踪者の手帳が鞄の中に残されており、その手帳は既に押収されています。
内容としてはごく普通の仕事のメモとちょっとした日常の記録と思われましたが、失踪から数日前の日付で「ここしばらくずっと嫌な夢を見ている」という記載がありました。
2:繰り返す悪夢の噂
夢、というものにまつわる話はいくつも見つかります。
学術的な話から、オカルト的な話まで。それこそ「前世の記憶が~」とか「運命の人が~」とか、関係ないものもたくさん引っ掛かって辟易するでしょう。
さて、その中で「繰り返す悪夢」に絞った場合、ここ数ヶ月のうちにいくつか興味深い報告があることがわかります。
自分の過去の思い出の風景の中で殺され続ける夢を見ている、そんな報告がSNSにちらほら上がっています。
また、それらの報告の数日後には、ぱたりとSNSの更新が止まっています。
もし、これがチーフと同じ状況だとすれば……?
SANc 0/1
3:冬虫夏草に似た性質の怪異
まず、冬虫夏草とは何か、ということについて調べてみれば、以下のような情報を得られるでしょう。
冬虫夏草/Ophiocordyceps sinensis
冬虫夏草(とうちゅうかそう)は、子囊菌類のきのこの一種で、土中の昆虫類に寄生した菌糸から地上に子実体を作る。中医学・漢方の生薬や、薬膳料理・中華料理などの素材として用いられる。
(Wikipedia『冬虫夏草』 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%AC%... 2024/09/26現在)
その上で、調査が可能です。
〈オカルト〉
基本情報
人の精神に寄生する怪異については様々な噂が存在します。
脳の中に入り込み、人間の記憶を読み取り、影響を与える昆虫のような姿のもの、だとか。
実はあまねく人類の意識の中に住み着いており、人類が自覚することはできない存在、だとか。
成功
しかし、「人の精神に住まい、宿主の精神を食い尽くした時点で胞子を撒く」という性質の怪異は確認されていないことがはっきりします。
似たような噂はちらほらありますが、完全に一致する特徴のものは観測されていない、ということでしょう。
失敗
しかし、「人の精神に住まい、宿主の精神を食い尽くした時点で胞子を撒く」という性質の怪異について、なかなか一致する情報は得られません。
(両方調べ終わったところで)
さて、インターネット上でオカルトの噂を調べていると、ひとつ、興味深い噂を見かけます。
何でも今や廃れつつある匿名掲示板の片隅に、「猫の写真一枚で何でも教えてくれるスレ」が存在するとか。
その噂自体がややオカルトじみてますが、現時点で他に頼れるものもありません。
根林さんなら、すぐにその所在を突き止めることができるでしょう。
>「猫の写真一枚で何でも教えてくれるスレ」に向かう
その掲示板のスレッドには、多数の猫の写真が溢れています。かわいいですね。
また、以下のルールが提示されています。
1:スレに猫の写真を貼りさえすれば質問はスレに書き込むでも、掲示板に書かれたメアドへの送付でもOK
2:自ら撮影、あるいは譲り受けた猫の写真であること。拾い物は不可
3:連絡先(メール、各種SNSのDM等個人的なやり取りが可能なもの)を明記すること
実際、ルールに反した拾い物の猫写真は即座に削除されるようです。スレ主、何者?
猫の写真の入手手段はお任せします。
ちなみに、最近署の周辺でもやけに人懐こい三毛猫が見かけられています。
余談として、執務室暮らしの鏑木が夜な夜なその猫に威嚇していたところが目撃されています。
鏑木、動物は好きなのですが接近されると威嚇せずにはいられないので……。
>猫の写真を入手
猫の写真と共に情報を求める旨を送付すれば、即座に返事がきます。
ling_nekonekoとか何かすげー適当なアカウントだと思います。
『はじめまして! 素敵な猫のお写真ありがとう。こちらは警察の猫ちゃんだよね? 近頃住み着いたみたいだよね』
『知りたいことはなんでも。もちろん、「全て」がわかるほど万能ではないけど』
『それでも、君の質問にはだいたい答えられるよ』
======
◆冬虫夏草の怪異
人の精神世界に住み着く怪異。
胞子の形で宿主に取りつき、宿主の記憶から夢の世界を構築し、その内部で増殖する。
宿主からは「思い出の風景の中で、延々と殺され続ける悪夢」のように思われる。
やがて宿主の精神が怪異に屈した時、怪異は宿主の精神を食らいつくし、宿主は肉体ごと現実世界から消失する。
消失の際、怪異は不可視の胞子を撒くことで周辺の人間に取りつき、再び夢の世界に根付くことで勢力を拡大する。
ごく最近、見出された怪異であり、書籍やネットで情報を得ることは難しい。
また、発見された例が少なすぎるため現時点でこの怪異に名称は存在しない。
======
『ごく最近の怪異、とはいえ、近頃多発している失踪事件はこれが原因だと思うんだよね』
『本当は対策も知ってる。でも、言いづらい理由がある』
『それにさ、君だって知っているだろう? この手の怪異は「ルール」さえ広まってしまえばどうってことはない』
『妖怪だって都市伝説だって、人の中で流布されるにつれてどんどん弱点がつけられていくし、解釈が進められていく。そうして、怪異は怪異でなくなっていく。こいつもその例に漏れないはずだ』
『ただ、君たちはそれを待つには時間が足りない……、それもそうだろうね』
『そうだな、もしこれ以上を「知りたい」なら、ボクと勝負してくれないかな、「ゼロ」の天才メカニック?』
『お察しの通り、ボクもそれなりに天才を標榜する「魔法使い(Wizard)」でね』
『君の知りたいことは、ボクのお城にぜーんぶ隠してるのさ』
『さあ、君のやる気と、そのやる気を現実にするための能力を、ボクに見せてよ!』
「猫スレの主」とのハッキング勝負になります。
猫スレの主が隠している情報にアクセスするための判定です。
======
◆猫スレの主との勝負
〈コンピューター〉/10(端数切り捨て)を能力値相当として【抵抗表】で勝負します。
今回はハッキングを「仕掛ける」根林さんが能動側、猫スレの主が受動側として扱います。
これを3回振り、2回以上成功した場合根林さんの勝利となります。
======
また、特殊ルールを公開します。
今回の【抵抗表】の判定は特殊ルールが適用可能です。
そのため、根林さんの使用できる値は12となります。
猫スレの主の〈コンピューター〉は95のため使用できる値は端数切り捨てで9。
つまりRESB(12-9)で判定を行っていただきます。
勝利
『さすが~。楽しいゲームをありがとう!』
『それに、その「腕」があれば、きっと何とかできるだろう』
『君もオカルトに精通していれば当然知ってるんじゃないかな。「呪詛を破る」には、高いリスクがつきものだ。失敗すれば、呪詛はさらに凶悪さを増して辺りを侵蝕し、破らなかった時よりも被害が拡大しかねない』
『それはもちろん、この手の怪異にも共通している』
『だから、ある種の腕前が必要なんだ。確実に呪詛破りを成功させる腕、仮に失敗してもねじ伏せるだけの腕。君にはそれがあるんだろうよ』
猫スレの主のデータベースにアクセスすれば、これらの情報が得られるでしょう。
======
◆冬虫夏草の怪異:対策
1:祓い手が宿主の夢に潜り、怪異を祓う特定の術式を埋め込む。
2:夢の中の宿主を、怪異に殺される前に殺害する。
3:怪異が消滅するまで時間を稼ぐ。
======
『この怪異は、どうもプログラムめいていてね。「夢の中の宿主」を殺しては夢をリセットする、という挙動をしているけれど、その一連の動作にバグを発生させたとき、怪異が消滅し宿主が生き残ったという事例の報告がある』
『とはいえ、極めてリスキーだ。1を失敗すれば怪異は警戒して以降の難易度が上がるだろう。2は、怪異のルーチンをバグらせるために必須の手続きだけど、祓い手にも宿主にも負担がかかる。下手したらこれで宿主が死ぬ可能性もある』
『2を成功させれば、怪異はバグって自己破綻を起こし消滅する。ただ、その際に怪異は宿主の夢と、夢に入り込んだ祓い手をめちゃくちゃにしようとするだろう。……それに耐えきる必要がある』
『ああ、あと、祓い手は「一人」である必要はないよ』
『実際、夢の中に入れる時間はそう長くないだろうしね、一回の試行のタイムリミットは「夢の中の宿主が怪異に殺されるまで」だから』
『術式を仕掛けるのに一人。怪異を消滅させる手続きに一人。そんなところだろう』
(あざらし注:根林さんには1の儀式、犬見さんに2と3の儀式をお願いします)
『君に、術式を教えておく。夢の中に……、そうだな、三箇所、あるいは四箇所くらい埋め込めると怪異が消滅する際の余波を幾分防げると思う。宿主の記憶に強く焼き付いてる場所に埋め込むと効果的だと思うよ』
======
◆術:目覚めの楔
猫スレの主が教えてくれた、冬虫夏草の怪異が発生させる「夢」に楔を打ち込む術式。
MPを1d3消費することで使用可能、失敗した場合追加でMP1d3消費で再挑戦可能。
MPが0になった際には夢から追い出される。また、現在MPは1に戻る。
一種のプログラムの形をしており、怪異との〈コンピューター〉/10(端数切り捨て)を基準とした【抵抗表】判定を成功させる必要がある。
術者が能動、怪異が受動となり、怪異の能力値はその際開示される。
※当シナリオの特殊ルールが適用可能。
======
『それじゃ、グッドラック、根林サン、それから「ゼロ」の皆々様』
その時点で鏑木が一旦帰ってくる。
そして一言二言会話をしたらふらふらと仮眠室の方に向かう。何かそろそろ限界っぽいね。
◆前回のあらすじ
根林さんは、鏡さんから鏑木が「自分が殺される悪夢」に苦しんでいることを聞かされます。
また、それが何らかの不可解な存在による影響であるらしい、ということも。
それは一週間前に捜査を担当した失踪事件とも無関係ではなさそうで、放置しておけば鏑木もまた突然この世から姿を消し、かつ同じ症状を周囲にばら撒くであろうことがわかります。
実家の猫の写真と引き換えに「冬虫夏草の怪異」の情報を得た根林さんは、鏑木の夢に入り込み、その目で怪異を目にしたわけですが――。
根林さんは、その目で「冬虫夏草の怪異」を目にすることで、この怪異を祓うにはどうも三つの手順が必要であるらしい、ということに気づきました。
猫の写真と交換で得た情報と総合するに、この怪異は、どうもプログラムめいた存在である、ということ。
「夢の中の宿主」を殺しては夢をリセットすることを繰り返す、という挙動であるなら、その挙動の中にイレギュラーな動作を差し込めば、怪異のルーチンをバグらせることができるのではないか、ということ。
ただ、そのためには、以下のリスクがあるということも、根林さんには理解できるでしょう。
1:祓い手が宿主の夢に潜り、怪異を払う特定の術式を埋め込む。
これは怪異を祓い切るために必須ではないものの、怪異の影響力を削ぎ、以降の手続きで怪異に宿主と祓い手が害される可能性を下げるものです。
ただし、失敗すれば怪異は警戒して以降の難易度が上がることになるでしょう。
2:夢の中の宿主を、怪異に殺される前に殺害する。
怪異のルーチンをバグらせるために必須の手続きです。
「宿主を殺して夢をリセットする」のが怪異のルーチンであるなら、怪異に殺される前に宿主を殺害することで、「ありえない」挙動を発生させることが可能でしょう。
しかし、祓い手にも宿主にも負担がかかります。この手続きで宿主が死ぬ可能性もあるでしょう。
3:怪異が消滅するまで時間を稼ぐ。
2を成功させれば、怪異はバグによる自己破綻を起こし消滅するでしょう。
ただし、その際に怪異は宿主の夢と、夢に入り込んだ祓い手をめちゃくちゃにしようとするでしょう。宿主と祓い手はそれに耐えきる必要があります。
また、これらの手続きを全て一度の夢で行うのは難しいということも理解できるでしょう。
しかし、祓い手は根林さん一人である必要はありません。
「後に繋ぐ」ということを意識してもいいでしょう。
1の手続きに必要な儀式を開示します。
このプログラムを、夢の中に三箇所、あるいは四箇所くらい埋め込めると怪異が消滅する際の余波を幾分防げる、そう根林さんは思うでしょう。
この夢の中に、それぞれ位置を変えて仕掛けられるとよいのですが、果たしてそのような「場所」があるでしょうか。
……もしかすると、その「場所」については。
今、あなたの目の前にいる、どこかで見たような顔の少年が、知っているかもしれませんが。
フードの少年は、電信柱の陰から恐る恐るあなたをうかがっています。
《以下フリースタイル》
鏑木少年と出会う。鏑木少年に協力を求めれば、最初は警戒を見せるがやがて協力してくれる。
《鏑木少年ロール指針》
・見た目は小学校高学年~中学一年生くらい(聞かれれば「じゅっさい(=10歳、小学五年生)」と答える)。背は高め(155~160くらい)だがひどく痩せている。フードから覗く髪と目は灰色で、肌の色は薄い。鏑木と同じ特徴。
・一人称は「おれ」。ひらがな多めのたどたどしい口調で喋る。(精神的に見た目・実年齢より幼い)
・最初は酷くおびえている。視線が合わないことに気づかせてもいい。
・いじめない、とわかったら少し明るく喋るようになる。喋り方はわやわやで、相変わらず視線は合わないが。
・やや頭が悪いというか相手の話が半分くらい分かっていないような素振りを見せる。INTというよりはEDUが低いということが伝わるといいな。
・話がある程度落ち着いたところで「おとうさんを探している」ということを伝えること。詳しく聞くと、父親は家にいないこと、父親のことはよく知らないこと、その上で、先程父親らしき人物を見つけて追いかけてきたことを語る。父親と判断した理由は「おれににてる」から。
・父親を探している理由は「母親に会わせたい」から。母親は寂しそうで、いつも父親の話をしている、という話を付け加えてもいい。
・父親とおぼしき人物は、背が高くて眼鏡をかけてた、という証言をする。詳しく聞けば確か黒いシャツに赤いベストを着てて、ズボンの色は灰色だったと思う、という説明になるかな。適宜状況に合わせて。
根林さんが介入を行おうとしているのに気づいたのでしょうか。
ざわり、と、周囲の影がざわめきます。
【抵抗表】判定を行います。
根林さんは能動側で12、怪異は受動側で5になります。
======
ここからは何も書いてなかったので、完全にアドリブで進行していました。
======
【宿題】
次回の犬見さんのシナリオまでに、
「根林さんは犬見さんに何を伝えたのか?」
を根林さんの言葉(あるいは残した文面)でまとめていただけると助かります。
よろしくお願いいたします。
【報酬】
鏑木の夢に楔を打った:SAN+2d3
畳む
#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
アフターグロウ・アフターイメージ/Side: 鏡 八千草
CoC6版『庭師は何を口遊む』自陣向けに書いたシナリオ、HO4の鏡 八千草さん向け。
※この文面には『庭師は何を口遊む』のシナリオのネタバレが含まれます。
■個別トレーラー
あなたは今、夕焼け空の下に立っている。……何故か。
つい先ほどまで、あなたは零課の執務室にいた。
ただ、鏑木が「調子が悪いから少し休む」と言ったきり、仮眠室から戻らないため、様子を見に行ったはずだったのだが。
黄昏時の知らない街並みは、静かで、よそよそしくて、あなたを拒むようで。
その時、どこからか、あなたを見つめる視線を感じた。
======
■Side: 鏡 八千草/特殊ルール
「あなたは手際よく俊敏性に優れ、多岐にわたる心得がある。」
あなたは、この夕暮れの街においては、その「手際よさ」と「俊敏性」をもって、あらゆる【戦闘技能】【探索技能】【運動技能】をDEX*3(=66)で代替することができる。
※理由としては「夕暮れの街」は「鏑木の精神世界」であるため、鏡さんの本来のスペックに加えて「鏑木がイメージする鏡さん」が反映されているからである。鏑木は鏡さんが「なんでもできる」と思ってるフシがある。ただし、交渉と知識に関しては流石に「鏡さんが持っている範囲」でしかない、ということを理解しているため代替が不可能である模様。
======
さて、鏡 八千草さん。
あなたは今、知らない場所に立っています。
夕暮れ時の住宅街。
しかし、今は昼時のはずで、しかも零課の執務室にいたはずです。
これまでに何があったか思い出そうとすると、まず、鏑木チーフのぼやきが浮かぶでしょう。
鏑木
「なーんか、最近、変な夢ばっか見るんだよな」
そんなことを言っていた鏑木は、近頃、少しばかり調子が悪そうです。
そんな状況が、ここ一週間ほど続いているでしょうか。
鏡さん、あなたは鏑木と何かその件について話したでしょうか?
(以下、鏡さんが望むならRP)
《鏑木ロール指針》
・夢の話は聞かれなければ詳細は答えない。鏑木はよく覚えてないので。
・ただ、「毎回、夕暮れの景色のような気がする」とは答える。「あと……」と、口ごもるようなそぶりを見せるが、「いや、何でもない」と言う。
・問いただせば、「毎回、何かに殺されてる、気がするんだ」と、白状する。「『何』に殺されたのかは思い出せないんだが、何かすっげーリアルな感触が残ってんの。嫌んなっちゃうぜ」とへらへら笑ってみせるが、その顔色は酷く悪い。
ともあれ、零課チーフ・鏑木は最近はずっとこんな調子だったのです。
常日頃から精神力ひとつで稼動してるような男なので、ぼやきつつもなんだかんだ仕事はこなしていたのですが。
今日に限って、昼食時、ふらふらと仮眠室に向かいながら、鏑木は鏡さんに言いました。
「悪い、調子が悪いから少し休む」
「鏡、もし時間が過ぎても俺が起きてこなかったら、叩き起こして構わねえから」
……そして、昼の休みが終わっても起きてこなかったんですね。
仕事させるにせよ、帰らせるにせよ、声をかけねばなりません。
かくして、仮眠室に向かった……、ような、記憶はあるのですが。
あなたは、今、知らない住宅街に、一人立っています。
ひどく静かで、車の音や人の声や足音、風の音も聞こえません。
異様な状況にSANc(0/1)
……その時、あなたは視線を感じます。
別に目星とか聞き耳とかは必要ありません、その正体も明らかなので。
ふ、とあなたが視線を向けた先、道の途中に何者かが立っています。
ひとりの少年です。
(立ち絵を提示)
あなたが気づいたことに向こうも気づいたのでしょうか、びくりと震えますが、逃げはしません。
……近づいてもこないですが。/
《以下フリースタイル》
鏑木少年と出会う。鏑木少年が「父親(精神世界を探索する鏑木)を探している」ことを伝え、鏡さんに協力してもらう形にもっていく。
《鏑木少年ロール指針》
・見た目は小学校高学年~中学一年生くらい(聞かれれば「じゅっさい(=10歳、小学五年生)」と答える)。背は高め(155~160くらい)だがひどく痩せている。フードから覗く髪と目は灰色で、肌の色は薄い。鏑木と同じ特徴。
・一人称は「おれ」。ひらがな多めのたどたどしい口調で喋る。(精神的に見た目・実年齢より幼い)
・最初は酷くおびえている。視線が合わないことに気づかせてもいい。
・いじめない、とわかったら少し明るく喋るようになる。喋り方はわやわやで、相変わらず視線は合わないが。
・やや頭が悪いというか相手の話が半分くらい分かっていないような素振りを見せる。INTというよりはEDUが低いということが伝わるといいな。
・話がある程度落ち着いたところで「おとうさんを探している」ということを伝えること。詳しく聞くと、父親は家にいないこと、父親のことはよく知らないこと、その上で、先程父親らしき人物を見つけて追いかけてきたことを語る。父親と判断した理由は「おれににてる」から。
・父親を探している理由は「母親に会わせたい」から。母親は寂しそうで、いつも父親の話をしている、という話を付け加えてもいい。
・父親とおぼしき人物は、背が高くて眼鏡をかけてた、という証言をする。詳しく聞けば確か黒いシャツに赤いベストを着てて、ズボンの色は灰色だったと思う、という説明になるかな。適宜状況に合わせて。
《やってもいい判定》
〈目星〉
(成功・失敗にかかわらず)
とりあえず、この子は鏑木によく似てますね。なんか日本人離れした珍しい見た目してますからね、あのチーフ。
(成功)
あと、やや、右手をかばうような動きをしてますね。怪我をしているのかもしれません。
〈アイデア〉
それ、父親というか、さっき仮眠室で寝てたはずの鏑木なのでは?
ただ、鏑木に子供がいるという話は聞いたことがないですね。
(名前を聞いていれば子供鏑木も鏑木健太と名乗ってるのでここはまあ適度に調節して)
鏑木なら、この街のこと、自分の状況のこと、何か知っているかもしれません。
《探索》
どうやら、この街の中に、鏑木がいるようです。
……まあ、この少年もどうも鏑木みたいですが。
状況はよくわかりませんが、とりあえず、鏑木をとっ捕まえて話を聞いた方がよさそうです。
【探索箇所】
・住宅街:夕暮れの街並み。家々の扉は閉ざされており、人の気配はない。
・川沿い:家々の間から土手が見える。おそらく川が流れているのだろう。
・トンネル:住宅街の道の先にはトンネルの入り口がある。その先は暗く、何も見えない。
どこに向かっても出来事の起こる順番は変わらないが、以下の描写を挟む。
《1:影に追われる》
辺りを見渡す。何かないか――と思った時、視界に「何か」がふっと重なり世界が暗くなる。
>BGM: 停止
景色を覆うような、黒い網のような。
もしくは……。
〈博物学〉
(成功)
それは「菌糸」のように見えたかもしれません。
ただ、あなたの知識にはない種類であるし、そもそも、目に映る景色全体を覆う菌糸など地球上には存在しないでしょう。
その時、ずるり、視界の隅で何かがうごめく。
(場所に合わせた描写)の影と思われていたそれは、あなたの前で引き伸ばされ、歪み、生い茂り、花を咲かせる。
それは、あの教会地下で見た「地獄の植物」に、あまりにもよく似て――。
あり得ざる光景に加えて、罪と恐怖の記憶が呼び起こされ、SANc(1/1d3)
それは、影のようでありながら、確かな質量を持っているように見えます。
刹那の恐怖に身を竦めたところで、あなた目掛けて、恐るべき素早さで這ってきます。
あなたは、この影から逃れなければならない。そう直感します。
>BGM: Memorial-Tablet
〈回避〉or【DEX】*3
・成功
あなたが避けたことで、その植物のような影はあなたの横をすり抜ける。しかし、即座に鎌首をもたげてもう一度、あなたを狙うことでしょう。
・失敗
影があなたに絡みつきます。その感触は、まさしく「植物」のそれで。力強く、荒々しく、あなたの体を締め付けます。
HP-1d3
あなたの脳裏に激しくちらつくのは、色鮮やかな花々。あなたの前で花に覆われていった、相模原の姿。
かつての出来事を「繰り返している」かのような錯覚に、自分が「その番」になったかのような感覚にSANc(1/1d6)
その時でした。
たぁん、という乾いた音。
影の植物ははっと我に返ったかのように動きを止め、音もなく影の中に潜り込みます。
>BGM: 停止
そして、その場には静寂が戻りました。
先ほどの音は――銃声?
あなたは音の聞こえた方を振り返りますが、そこに人の姿はありませんでした。
視界を覆っていた網もいつの間にか晴れていて、それは、ひと時のゆめまぼろしであるかのよう。
《2:鏑木を発見》
「おとうさん」
そう言って、少年が駆けていく。
見れば、灰色の髪をした、長身痩躯の男が立っている。
仮眠室で寝ていたはずの、鏑木だ。
「おー、いたいた。……って、あれ、鏡?」
(RP)
《鏑木ロール指針》
・事情を聞かれると「いつもこの夢を見てんだよ」と素直に答える。
・どうして鏡さんがここにいるのかといえば、「俺は目を覚ますと思い出せなくなる。だから、原因を探ってくれる『誰か』を呼んでた」「本当に『誰か』が来てくれるとは思ってなかったが」「どうも俺は何かにとりつかれてるっぽくてな」「日に日に夢の中で起こることが悪化してるんだよな」「お前も見ただろ、あの、超気色悪い網目と、襲ってくる影」「俺は、毎日、あの影に殺されることで目が覚める」
・「別に、俺だけがうんうん唸ってりゃ済むならそれでいいんだが」「嫌な予感がするから、俺の頭がかろうじて正常な間に誰かの助けを借りたかった」(ちらつく、黒い網)「この網が俺の夢全体に広まった時、最悪なことが起こる気がする」
・「ただ、お前を呼び込んじまったことで、『こいつ』が警戒してるみてえだな。同じ奴を二度呼び込むことは難しそうだ」「だから、今、解決できなくとも、『持ち帰って』くれないか」「ここで起こったこと、何が影響しているのか、お前のわかる限りでいいから」
その他情報
・「俺がガキのころ暮らしてた街に似てる……、かもしれない」「よく覚えてねえんだよな」
・鏑木少年から「おとうさん」と呼ばれていることについて、鏑木は声を殺して「一応、今は『おとうさん』ってことにしといてくれ」という。「何度説明しても忘れちまうんだ。俺だけが記憶してる」「目覚めちまえば、俺の方が何にも覚えてねえのにな」
・先ほど銃を撃ったのは鏑木。鏡さんのことは見えていなかったが、影が誰かを襲っているのを見つけて、咄嗟に威嚇のために発砲した。ホルスターの銃を見せる。鏡さんは持っていない。
※鏡さんが持っていないのは「鏡さんには撃たないでいてほしい」の意味が強い。これはアイデアあるいは心理学で判断させていい。
・鏑木が同行する。
鏑木少年が「おとうさん、おかあさんに会って」と言い、探索場所に『鏑木家』が追加される。
・鏑木家:古く小さな一軒家。庭は荒れていて、長らく手入れがされていない。
《3:襲撃と目覚め》
あなたたち三人は、()に向かいます。
そこに、再び、覆いかぶさる黒い網――。
鏡さん、あなたは改めてそれを見て、どうも「菌糸」のようだと思うでしょう。
そして、同時に、影という影から現れた草花があなたに襲い掛かってくるでしょう。
銃声。傍らに立つ鏑木が銃を抜いて、あなたに向かってきた影の花を撃ちます。
しかし、その数は減るどころか数を増すばかり。
「あー、こりゃ無理だな」
そう言って、鏑木は幼い自分自身を鏡さんの方に押しやります。
「いくら『舞台装置』だとしても、こいつがどうにかなるのは、気分が悪い」
「俺の目が覚めれば、お前も覚めるだろ」
「――ただ、『何が起こったのか』は、きっちり見届けてくれ」
「俺は覚えてられられないから、お前だけが頼りだ」
判定を行っていきましょう。
鏑木が前に立ったことで、あなたに向かっていた影のほとんどは鏑木に向かうことでしょう。
しかし、それでも、あなたの体にも巻き付こうとする蔦がひとつ。
〈回避〉or【DEX】*3
失敗でHP-1d3
もたげる影が裂け、改めて絡み合い、更に形を凶悪なものにしていきます。
その動きを、あなたは、確かに目に焼き付けて。
〈博物学〉
影のようなそれもまた、景色を覆うそれと同じ、菌糸の塊であるように思います。
先ほどの鏑木の言葉を思い出します。
「この網が俺の夢全体に広まった時、最悪なことが起こる気がする」
もちろん、このような奇怪な現象を起こすものなど、地球上には存在しません。
しかし、「その形」を取っているように見える以上は、何らかの類似があってしかるべきです。
あなたは、ふと、「寄生する生物」のことを思い出すでしょう。
例えば、Ophiocordyceps sinensisは、土中の虫に寄生し、その体内の養分を用いて菌糸を張り巡らせ、やがて子実体を作り菌を撒く子囊菌類のきのこの一種です。
Ophiocordyceps sinensis、いわゆる「冬虫夏草」と呼ばれるそれと、鏑木の夢を侵蝕しているこの菌糸は極めて近しい生態を持つように思われます。
そして、鏑木の夢を侵蝕しきったその時には――、虫から生えたそれが菌を撒くように。被害者が増えることを示しているのでは、ないでしょうか。
※失敗した場合は〈知識〉
影のようなそれもまた、景色を覆うそれと同じ、菌糸の塊であるように思います。
先ほどの鏑木の言葉を思い出します。
「この網が俺の夢全体に広まった時、最悪なことが起こる気がする」
もちろん、このような奇怪な現象を起こすものなど、地球上には存在しません。
しかし、「その形」を取っているように見える以上は、何らかの類似があってしかるべきです。
あなたの頭に浮かぶのは、虫から生えるキノコ、いわゆる「冬虫夏草」の類。
この菌糸もまた、鏑木の夢を侵蝕しきったその時には――、虫から生えたキノコが菌を撒くように、被害者が増えることを示しているのでは、ないでしょうか。
どうすれば?
あなたはまだ、その答えを持ちません。
……けれど、あなたは一人ではないのです。
「頼んだぞ、鏡」
群れる影の向こうから、声。
そして、何かを押し殺すような呻き声と、何かが折れる音。
SANc(1/1d3)
そして、あなたの意識はすとん、と闇に落ちて。
目を開けば、そこは見慣れた仮眠室。
酷く青い顔をした鏑木が、それでも、何でもない風を装って、「悪い、ちょっと寝過ごした」と声をかけてくるでしょう。
「夢に、鏡が出てきた気がした」
あなたは、忘れる前に二人に伝える必要があるでしょう。
鏑木に何が起こっているのか。
鏑木の夢で知りえたことを。
これはもはや、鏑木一人の問題ではありえないのですから。
【宿題】
次回の根林さんのシナリオまでに、
「鏡さんは根林さんと犬見さんに何を伝えたのか?」
を鏡さんの言葉でまとめていただけると助かります。
よろしくお願いいたします。
【報酬】
鏑木の夢から情報を持ち帰った:SAN+2d3
畳む
#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
CoC6版『庭師は何を口遊む』自陣向けに書いたシナリオ、HO4の鏡 八千草さん向け。
※この文面には『庭師は何を口遊む』のシナリオのネタバレが含まれます。
■個別トレーラー
あなたは今、夕焼け空の下に立っている。……何故か。
つい先ほどまで、あなたは零課の執務室にいた。
ただ、鏑木が「調子が悪いから少し休む」と言ったきり、仮眠室から戻らないため、様子を見に行ったはずだったのだが。
黄昏時の知らない街並みは、静かで、よそよそしくて、あなたを拒むようで。
その時、どこからか、あなたを見つめる視線を感じた。
======
■Side: 鏡 八千草/特殊ルール
「あなたは手際よく俊敏性に優れ、多岐にわたる心得がある。」
あなたは、この夕暮れの街においては、その「手際よさ」と「俊敏性」をもって、あらゆる【戦闘技能】【探索技能】【運動技能】をDEX*3(=66)で代替することができる。
※理由としては「夕暮れの街」は「鏑木の精神世界」であるため、鏡さんの本来のスペックに加えて「鏑木がイメージする鏡さん」が反映されているからである。鏑木は鏡さんが「なんでもできる」と思ってるフシがある。ただし、交渉と知識に関しては流石に「鏡さんが持っている範囲」でしかない、ということを理解しているため代替が不可能である模様。
======
さて、鏡 八千草さん。
あなたは今、知らない場所に立っています。
夕暮れ時の住宅街。
しかし、今は昼時のはずで、しかも零課の執務室にいたはずです。
これまでに何があったか思い出そうとすると、まず、鏑木チーフのぼやきが浮かぶでしょう。
鏑木
「なーんか、最近、変な夢ばっか見るんだよな」
そんなことを言っていた鏑木は、近頃、少しばかり調子が悪そうです。
そんな状況が、ここ一週間ほど続いているでしょうか。
鏡さん、あなたは鏑木と何かその件について話したでしょうか?
(以下、鏡さんが望むならRP)
《鏑木ロール指針》
・夢の話は聞かれなければ詳細は答えない。鏑木はよく覚えてないので。
・ただ、「毎回、夕暮れの景色のような気がする」とは答える。「あと……」と、口ごもるようなそぶりを見せるが、「いや、何でもない」と言う。
・問いただせば、「毎回、何かに殺されてる、気がするんだ」と、白状する。「『何』に殺されたのかは思い出せないんだが、何かすっげーリアルな感触が残ってんの。嫌んなっちゃうぜ」とへらへら笑ってみせるが、その顔色は酷く悪い。
ともあれ、零課チーフ・鏑木は最近はずっとこんな調子だったのです。
常日頃から精神力ひとつで稼動してるような男なので、ぼやきつつもなんだかんだ仕事はこなしていたのですが。
今日に限って、昼食時、ふらふらと仮眠室に向かいながら、鏑木は鏡さんに言いました。
「悪い、調子が悪いから少し休む」
「鏡、もし時間が過ぎても俺が起きてこなかったら、叩き起こして構わねえから」
……そして、昼の休みが終わっても起きてこなかったんですね。
仕事させるにせよ、帰らせるにせよ、声をかけねばなりません。
かくして、仮眠室に向かった……、ような、記憶はあるのですが。
あなたは、今、知らない住宅街に、一人立っています。
ひどく静かで、車の音や人の声や足音、風の音も聞こえません。
異様な状況にSANc(0/1)
……その時、あなたは視線を感じます。
別に目星とか聞き耳とかは必要ありません、その正体も明らかなので。
ふ、とあなたが視線を向けた先、道の途中に何者かが立っています。
ひとりの少年です。
(立ち絵を提示)
あなたが気づいたことに向こうも気づいたのでしょうか、びくりと震えますが、逃げはしません。
……近づいてもこないですが。/
《以下フリースタイル》
鏑木少年と出会う。鏑木少年が「父親(精神世界を探索する鏑木)を探している」ことを伝え、鏡さんに協力してもらう形にもっていく。
《鏑木少年ロール指針》
・見た目は小学校高学年~中学一年生くらい(聞かれれば「じゅっさい(=10歳、小学五年生)」と答える)。背は高め(155~160くらい)だがひどく痩せている。フードから覗く髪と目は灰色で、肌の色は薄い。鏑木と同じ特徴。
・一人称は「おれ」。ひらがな多めのたどたどしい口調で喋る。(精神的に見た目・実年齢より幼い)
・最初は酷くおびえている。視線が合わないことに気づかせてもいい。
・いじめない、とわかったら少し明るく喋るようになる。喋り方はわやわやで、相変わらず視線は合わないが。
・やや頭が悪いというか相手の話が半分くらい分かっていないような素振りを見せる。INTというよりはEDUが低いということが伝わるといいな。
・話がある程度落ち着いたところで「おとうさんを探している」ということを伝えること。詳しく聞くと、父親は家にいないこと、父親のことはよく知らないこと、その上で、先程父親らしき人物を見つけて追いかけてきたことを語る。父親と判断した理由は「おれににてる」から。
・父親を探している理由は「母親に会わせたい」から。母親は寂しそうで、いつも父親の話をしている、という話を付け加えてもいい。
・父親とおぼしき人物は、背が高くて眼鏡をかけてた、という証言をする。詳しく聞けば確か黒いシャツに赤いベストを着てて、ズボンの色は灰色だったと思う、という説明になるかな。適宜状況に合わせて。
《やってもいい判定》
〈目星〉
(成功・失敗にかかわらず)
とりあえず、この子は鏑木によく似てますね。なんか日本人離れした珍しい見た目してますからね、あのチーフ。
(成功)
あと、やや、右手をかばうような動きをしてますね。怪我をしているのかもしれません。
〈アイデア〉
それ、父親というか、さっき仮眠室で寝てたはずの鏑木なのでは?
ただ、鏑木に子供がいるという話は聞いたことがないですね。
(名前を聞いていれば子供鏑木も鏑木健太と名乗ってるのでここはまあ適度に調節して)
鏑木なら、この街のこと、自分の状況のこと、何か知っているかもしれません。
《探索》
どうやら、この街の中に、鏑木がいるようです。
……まあ、この少年もどうも鏑木みたいですが。
状況はよくわかりませんが、とりあえず、鏑木をとっ捕まえて話を聞いた方がよさそうです。
【探索箇所】
・住宅街:夕暮れの街並み。家々の扉は閉ざされており、人の気配はない。
・川沿い:家々の間から土手が見える。おそらく川が流れているのだろう。
・トンネル:住宅街の道の先にはトンネルの入り口がある。その先は暗く、何も見えない。
どこに向かっても出来事の起こる順番は変わらないが、以下の描写を挟む。
《1:影に追われる》
辺りを見渡す。何かないか――と思った時、視界に「何か」がふっと重なり世界が暗くなる。
>BGM: 停止
景色を覆うような、黒い網のような。
もしくは……。
〈博物学〉
(成功)
それは「菌糸」のように見えたかもしれません。
ただ、あなたの知識にはない種類であるし、そもそも、目に映る景色全体を覆う菌糸など地球上には存在しないでしょう。
その時、ずるり、視界の隅で何かがうごめく。
(場所に合わせた描写)の影と思われていたそれは、あなたの前で引き伸ばされ、歪み、生い茂り、花を咲かせる。
それは、あの教会地下で見た「地獄の植物」に、あまりにもよく似て――。
あり得ざる光景に加えて、罪と恐怖の記憶が呼び起こされ、SANc(1/1d3)
それは、影のようでありながら、確かな質量を持っているように見えます。
刹那の恐怖に身を竦めたところで、あなた目掛けて、恐るべき素早さで這ってきます。
あなたは、この影から逃れなければならない。そう直感します。
>BGM: Memorial-Tablet
〈回避〉or【DEX】*3
・成功
あなたが避けたことで、その植物のような影はあなたの横をすり抜ける。しかし、即座に鎌首をもたげてもう一度、あなたを狙うことでしょう。
・失敗
影があなたに絡みつきます。その感触は、まさしく「植物」のそれで。力強く、荒々しく、あなたの体を締め付けます。
HP-1d3
あなたの脳裏に激しくちらつくのは、色鮮やかな花々。あなたの前で花に覆われていった、相模原の姿。
かつての出来事を「繰り返している」かのような錯覚に、自分が「その番」になったかのような感覚にSANc(1/1d6)
その時でした。
たぁん、という乾いた音。
影の植物ははっと我に返ったかのように動きを止め、音もなく影の中に潜り込みます。
>BGM: 停止
そして、その場には静寂が戻りました。
先ほどの音は――銃声?
あなたは音の聞こえた方を振り返りますが、そこに人の姿はありませんでした。
視界を覆っていた網もいつの間にか晴れていて、それは、ひと時のゆめまぼろしであるかのよう。
《2:鏑木を発見》
「おとうさん」
そう言って、少年が駆けていく。
見れば、灰色の髪をした、長身痩躯の男が立っている。
仮眠室で寝ていたはずの、鏑木だ。
「おー、いたいた。……って、あれ、鏡?」
(RP)
《鏑木ロール指針》
・事情を聞かれると「いつもこの夢を見てんだよ」と素直に答える。
・どうして鏡さんがここにいるのかといえば、「俺は目を覚ますと思い出せなくなる。だから、原因を探ってくれる『誰か』を呼んでた」「本当に『誰か』が来てくれるとは思ってなかったが」「どうも俺は何かにとりつかれてるっぽくてな」「日に日に夢の中で起こることが悪化してるんだよな」「お前も見ただろ、あの、超気色悪い網目と、襲ってくる影」「俺は、毎日、あの影に殺されることで目が覚める」
・「別に、俺だけがうんうん唸ってりゃ済むならそれでいいんだが」「嫌な予感がするから、俺の頭がかろうじて正常な間に誰かの助けを借りたかった」(ちらつく、黒い網)「この網が俺の夢全体に広まった時、最悪なことが起こる気がする」
・「ただ、お前を呼び込んじまったことで、『こいつ』が警戒してるみてえだな。同じ奴を二度呼び込むことは難しそうだ」「だから、今、解決できなくとも、『持ち帰って』くれないか」「ここで起こったこと、何が影響しているのか、お前のわかる限りでいいから」
その他情報
・「俺がガキのころ暮らしてた街に似てる……、かもしれない」「よく覚えてねえんだよな」
・鏑木少年から「おとうさん」と呼ばれていることについて、鏑木は声を殺して「一応、今は『おとうさん』ってことにしといてくれ」という。「何度説明しても忘れちまうんだ。俺だけが記憶してる」「目覚めちまえば、俺の方が何にも覚えてねえのにな」
・先ほど銃を撃ったのは鏑木。鏡さんのことは見えていなかったが、影が誰かを襲っているのを見つけて、咄嗟に威嚇のために発砲した。ホルスターの銃を見せる。鏡さんは持っていない。
※鏡さんが持っていないのは「鏡さんには撃たないでいてほしい」の意味が強い。これはアイデアあるいは心理学で判断させていい。
・鏑木が同行する。
鏑木少年が「おとうさん、おかあさんに会って」と言い、探索場所に『鏑木家』が追加される。
・鏑木家:古く小さな一軒家。庭は荒れていて、長らく手入れがされていない。
《3:襲撃と目覚め》
あなたたち三人は、()に向かいます。
そこに、再び、覆いかぶさる黒い網――。
鏡さん、あなたは改めてそれを見て、どうも「菌糸」のようだと思うでしょう。
そして、同時に、影という影から現れた草花があなたに襲い掛かってくるでしょう。
銃声。傍らに立つ鏑木が銃を抜いて、あなたに向かってきた影の花を撃ちます。
しかし、その数は減るどころか数を増すばかり。
「あー、こりゃ無理だな」
そう言って、鏑木は幼い自分自身を鏡さんの方に押しやります。
「いくら『舞台装置』だとしても、こいつがどうにかなるのは、気分が悪い」
「俺の目が覚めれば、お前も覚めるだろ」
「――ただ、『何が起こったのか』は、きっちり見届けてくれ」
「俺は覚えてられられないから、お前だけが頼りだ」
判定を行っていきましょう。
鏑木が前に立ったことで、あなたに向かっていた影のほとんどは鏑木に向かうことでしょう。
しかし、それでも、あなたの体にも巻き付こうとする蔦がひとつ。
〈回避〉or【DEX】*3
失敗でHP-1d3
もたげる影が裂け、改めて絡み合い、更に形を凶悪なものにしていきます。
その動きを、あなたは、確かに目に焼き付けて。
〈博物学〉
影のようなそれもまた、景色を覆うそれと同じ、菌糸の塊であるように思います。
先ほどの鏑木の言葉を思い出します。
「この網が俺の夢全体に広まった時、最悪なことが起こる気がする」
もちろん、このような奇怪な現象を起こすものなど、地球上には存在しません。
しかし、「その形」を取っているように見える以上は、何らかの類似があってしかるべきです。
あなたは、ふと、「寄生する生物」のことを思い出すでしょう。
例えば、Ophiocordyceps sinensisは、土中の虫に寄生し、その体内の養分を用いて菌糸を張り巡らせ、やがて子実体を作り菌を撒く子囊菌類のきのこの一種です。
Ophiocordyceps sinensis、いわゆる「冬虫夏草」と呼ばれるそれと、鏑木の夢を侵蝕しているこの菌糸は極めて近しい生態を持つように思われます。
そして、鏑木の夢を侵蝕しきったその時には――、虫から生えたそれが菌を撒くように。被害者が増えることを示しているのでは、ないでしょうか。
※失敗した場合は〈知識〉
影のようなそれもまた、景色を覆うそれと同じ、菌糸の塊であるように思います。
先ほどの鏑木の言葉を思い出します。
「この網が俺の夢全体に広まった時、最悪なことが起こる気がする」
もちろん、このような奇怪な現象を起こすものなど、地球上には存在しません。
しかし、「その形」を取っているように見える以上は、何らかの類似があってしかるべきです。
あなたの頭に浮かぶのは、虫から生えるキノコ、いわゆる「冬虫夏草」の類。
この菌糸もまた、鏑木の夢を侵蝕しきったその時には――、虫から生えたキノコが菌を撒くように、被害者が増えることを示しているのでは、ないでしょうか。
どうすれば?
あなたはまだ、その答えを持ちません。
……けれど、あなたは一人ではないのです。
「頼んだぞ、鏡」
群れる影の向こうから、声。
そして、何かを押し殺すような呻き声と、何かが折れる音。
SANc(1/1d3)
そして、あなたの意識はすとん、と闇に落ちて。
目を開けば、そこは見慣れた仮眠室。
酷く青い顔をした鏑木が、それでも、何でもない風を装って、「悪い、ちょっと寝過ごした」と声をかけてくるでしょう。
「夢に、鏡が出てきた気がした」
あなたは、忘れる前に二人に伝える必要があるでしょう。
鏑木に何が起こっているのか。
鏑木の夢で知りえたことを。
これはもはや、鏑木一人の問題ではありえないのですから。
【宿題】
次回の根林さんのシナリオまでに、
「鏡さんは根林さんと犬見さんに何を伝えたのか?」
を鏡さんの言葉でまとめていただけると助かります。
よろしくお願いいたします。
【報酬】
鏑木の夢から情報を持ち帰った:SAN+2d3
畳む
#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
遊んでくださりありがとうございました! 少しでも楽しんでいただけたならあざらしと鏑木はベリーハッピーです!!
せっかくなのでKP・鏑木PL視点のあとがきという名のラブコールします。
※この文面には『庭師は何を口遊む』のシナリオのネタバレが含まれます。
■Side: 鏡さん
「私の……友人にも、同じ名の人がいるわ」
「奇遇ね」
「起きているみたいですね」
「えっその仕草なに!? マジで殴られるとこだった!?」
「私はただ腕を回しているだけですが」
「絶対にやる気だっただろお前ぇ!?」
「まったく、しょうがない人ですね」
「……一度きりですよ? 頼まれても『二度』はしませんから」
初回ということもありちょっとまごまごしたりしてましたが、鏡さんが生きて動いてる~~~~!!!を堪能しました。ありがとうございます……。
冒頭の鏑木とのやりとり、あまりにもこの二人の日常~という感じで最高でした。鏡さんのお小言を調子のいい軽口で返す鏑木よ……。まだお小言言ってもらえてるだけありがたいと思いなさいよ鏑木。鏡さんが今もなおそこにいてくれるというのがどれだけ幸いなのかをわかってるのかいないのか(よくよくわかってはいるはずなんですけどね)。
さて、鏡さんのシナリオは最初ということもありかなりシンプルな作りでした。かぶらき少年と一緒に過ごしてほしいな~お話ししてみてほしいな~という気持ちがぎゅっぎゅと込められてるのがよくわかるかなと思います。
その結果、少年に対して優しく、また頼りになる鏡さんが見れてほんとにハッピーに満ちちゃった……。
おんぶして走ってくれたのめちゃくちゃ嬉しくて無限に悶えてます。かぶらき少年もあざらしも大喜びです。そういえばその情報、かぶらき少年の性質上、今になって鏑木にも「鏡さんにおんぶしてもらった」という共有された可能性があり、「えっ俺もそれやってほしい」ってなってます。落ち着け鏑木。
それはそうとアサツキさんが
>流石にけんたくんおんぶした状態で無茶はしないだろう しないよね?(確認するPL)
>だって鏡だし 鏡だからね……
って言ってるのめちゃくちゃ面白かったですね。アサツキさん視点の鏡さんの性質www
あと鏡さんが(かぶらき少年への説明のため伝わる言葉を選んだ結果として、ではあるんですが)鏑木のことを「友人」と言ってたのがすごく嬉しかったのですよね。おそらく本来の感覚としては「同僚(肩書き上は上司と部下だけど弊零課って意識的にはほぼ横並びなので)」かなと思うんですが、その上で少年にわかる表現を選んだときに少し砕けた「友人」を選ぶのがめちゃくちゃよくて……(ここ、犬見さんは「上司と部下」で「仲間」って言ってたんですよね)。思わず鏑木が「えっ鏡、俺のこと『友人』だと思ってたの!?」ってなった。鏑木、友達いないからさ……。
その上で鏑木のことを「しょうがない人」と言いながらも、そのしょうがなさもひっくるめて信頼してくれてるんだなぁってわかる感じが、本当に尊すぎて拝んでました。うう……。
なお、全然話し足りてないのでふしぎなお菓子を食らうことに決めたのですがそれはまた別の話。
■Side: 根林さん
「僕は鏡さんほどチーフと親しくしてはいませんし……他人に興味がないのはチーフは百も承知でしょうからな……」
『言いづらいとはどういうことだ?こちらの知り合いの身の危険がかかっているのだ、教えてほしい』
『日常に迫る危険に対して、万人が取れる対策を講じるのは当然のことだ』
「だがね。時間はもっと有効に使うべきだと思うよ……。例えば、勉強なんかにね……」
「……ああ、いや、君の父親をないがしろにしているわけではないのだがね……。だが、きっと戻ってくると言うのならば……君がわざわざ探さなくても、その時は来るだろう……」
「だから、貴重な時間を無駄にするのは止めたまえよと、大人からは助言をするよ……」
かいマホでも同卓させていただいたとむさん相手なのと、本編で根林さんコンピューター使ってるシーンがそこまで多くなかったな……? と思い、猫スレの主こと匿名のハッカーと対決してもらいました。根林さんの実家にはふくふくしたねこちゃんがいる。そして根林さんのスマホにはねこちゃんのお写真がある。うれしい。モキバの猫フォルダが潤いました。
零課以外のメンバーに向ける顔が見られたのも本当に嬉しい! 喧嘩を売るわりに全然買わない、ってとむさんの根林さん評めちゃくちゃよかったな……。猫スレの主への塩な対応ありがとうございます!!!!!となりました。
あとやっぱりかぶらき少年への対応がね~ほんとによくてぇ~!!
というのも、根林さんは弊陣唯一、血のつながった子供がいるため……。根林さんがそういう設定だったからこそ、「『こども』に対するとこ見てみたいな~」とこういうシナリオにしてるとこがかなりあります。
根林さん、決して子供の扱いが得意なほうではないのだろうなと思いつつも、しかしかぶらき少年にわかるように言葉を選んでくれたり、あと「これから」のために学びの大事さを示してくれたりとか、めちゃくちゃよき「大人」としての姿を見せてくれてて……。
「きっと自分のために使った時間は自分を守ってくれるから。」
いいモノローグすぎるよ……。これが、妹を捜すために警察に入り、妹を捜すために研鑽を続けながら、あの結末を迎えてなお警察官であることを生き甲斐と認識した根林さんの言葉であることがまたね~!!
あとお子さんの名前(伊佐緒くん)がその場で決まるのと、その上でとむさんが「『ひさお』から名付けた『いさお』でしたが、根林的に犬見さんの『いさむ』がちょっと似ているのが腹立たしいらしいです 」って言ってたのめちゃくちゃよかったですw 俺たちはライブ感で生きている。
かぶらき少年に名前を名乗らなかったのもめっちゃ根林さんらしいな……と思いました。そのため、かぶらき少年から見た根林さんは「光る板でなんかしてた魔法使いのおまわりさん」です。かぶらき少年はタブレット端末を知らない。(なお後で犬見さんが名前を教えたので今は根林さんの名前も知ってます)
実は他のお二人に比べて鏑木本人との会話シーンがほぼ皆無で申し訳ないな、と思ってはいたんですが、ただ、根林さんと鏑木はたぶん言葉を重ねるよりお互いに「行動で示す」方がらしいかな~と思ってちょっと変則的な流れにしてみました。
でもそれはそれとして二人で並んでずるずるおそば食ってるとことか、だらだら喋る鏑木を無視する根林さんとか無限に見たいよ~~~~!!!
それはそうと鏑木の名前は健太ですからね根林さん。根林さん?(マジで他人のプロファイルに興味がなさ過ぎるムーブが面白かった)
■Side: 犬見さん
「夢は、逃げられませんから。あの日の僕たちみたいに」
「認識をずらして現実逃避することもできずに、ずっと責められるんです」
「……もし、これまでの被害者たちも同じような状態になっているのだとしたら、僕は一刻でも早く解決したいです」
「そういう苦しみを、誰にも味わってほしくないと思います」
「僕たち二人と、鏡さんと根林さん、4人で1チームなんだよ」
「うん、またね。それと、これからもよろしく」
漢犬見~~~~!!!! マジでずっと「漢だ……」って言ってましたね我々。
本編でもいたって穏やかで人当たりの良い感じの犬見さんだったのですが、今回、色々なお話が聞けてよかったな~~~~!!というのが第一の感想ですね!!心から優しくて、ちょっと気の弱いところもあって、でも、そんな自分をよくよく理解したうえで真っ直ぐ前を見て、その優しさゆえに困難に立ち向かっていく感じが言動の端々から感じられて嬉しすぎました。
あと、庭師本編の話もいっぱいできてよかったですね……。犬見さんと鏑木はあの事件において「銃を手にして撃った」という共通点があるうえで、対象や状況の差もあってその事実をどう受け止めているのか、という点で大きく違いがあり、やり取りの中にもスタンスの差が見えるのが本当に嬉しかったです。鏑木は夢の中に銃を持ち込んでガンガンぶっ放す男なので……犬見さんはこうはなるなよ……(なれない)。
個人的にめっちゃ噛み締めちゃったのが、怪異が消える際に唇を開き、「犬見さんが根林未来から言われたかったこと」を言おうとしたかったのかもしれない、という描写をしたところ、犬見さんというかなおすけさんから「赦しの言葉なんだろうな……」「犬見の行いを正当化する言葉なんだろうなあ~」という返答があったということなんですよね。犬見さんを赦す(「犬見さんが赦されたと感じる」という方が正しいんだけど)ことは、結局のところそのひとにしかできない、ということで、それは絶対になされることがない、ということ……うう……。
あと、犬見さんの子供の扱いの上手さがほんとによかったです。鏑木がマジでストレートにしかものを言えない一方で、犬見さんは本当にかぶらき少年を乗せるのが上手すぎる。そうだよね、子供は大人(特に相手はおまわりさんなわけで)の「役に立ってる」感をくすぐられるのが一番嬉しいということ……。特にかぶらき少年はそういう「大人に認めてもらう」経験が極めて少ない子供なので、めっちゃ嬉しかったと思います。
犬見さんのシナリオは、せっかく〈挑発〉があるので、シンプルに「守るべき相手のいるバトル」をさせよう!というのが最大のテーマでした。〈挑発〉、今回スペシャルで決めててめっちゃよかったですね。かぶらき少年に「がんばって!」って言われてばっちり成功する辺り、ぷいきゅあだったかもしれん。本当にかっこよかったよ~~~~!!!
ちなみにかぶらき少年の能力について「1ラウンド3回(某シナリオの特殊能力)ができます」って言ったのは秘密だ。これ庭師だって言ってんだろ。
まだ語り足りないけど多分無限に語っちゃうのでこの辺で。
今回は一人ずつと遊ばせていただきましたが、今度は四人でどっか行ったり事件解決したりしたいですね! バニー警察とか(まだ諦めてないのか?)(全然諦めてないですが……)。
是非ともまた遊んでください~!!
以上、鏑木PL、あざらしがお送りいたしました!!
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