全年10月28日(時系列順)[9件]
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ツイッターに書いた文面をほぼそのまま転載。
Xは、人を数人殺した罪を抱えてるわけで、当時は結構センセーショナルに報じられたと思うんだよね。そんなわけで調べさえすればXが何者でどういう罪状なのかもある程度詳しくわかるんだけど「私」が大して興味がないので今のところXはただのXのままでいる。
最初にXによるものだとわかった殺人事件は一つで、でもその事件で捕まったX自身の自供で、実はもっとたくさん殺してることが判明したのだった。手口は毎回がらっと変えてて、しかもいろんな偶然も味方してXの手による殺人だということが限りなくわかりづらくなってたというおはなし。
あと、比較的期間をおいていたり、殺害場所がばらばらだったり、そもそも被害者に共通点が全く見あたらなかったり、とにかく「同一犯」であることがわかりづらい殺人だったんだよね~。いつかそのへんは語りたいところはある……。
ちなみにXは、己のしたことに対して全く反省の色を見せてないし今も全然反省してない。そりゃ死刑にもなるよ。反省してないけど「私」の前に見せてる従順な態度が嘘というわけではない。あれはほとんど素。
Xは反省してないけど自分が法で裁かれることは当然だと思ってるし、法が正しく行使されたことにはむしろ「よかった」と思っている。Xは自分を取り巻く世界がまっとうであってほしいと願っている人なんだけど、X自身があまりまっとうでないから、最後には自分が破滅するとは思ってたと思うんだよな。
無名夜行の時点でのXは、素直に社会貢献のためにプロジェクトに協力しているのだよな……もう大切なものは何も残ってないので、なんだってできてしまうという側面もある。時々個人的な感想を言葉にすることはあるけど、「私」が強いれば何でもするだろうね。
ちなみに無名夜行の時期は、Xが捕まってから十年ほど経っていて、プロジェクトに誘われるまでの間はずっと静かに拘置所で暮らしていた。従順で何一つ問題を起こしたことがない、という報告を受けて「私」がXを選んだという背景があったりする。
時には非人道的な扱いを受けてたかもしれないんだけど、Xはまるで気にする素振りを見せない。自分に対して何をされても感情が動かないところはあり、波風立てずにどこまでも従順に振る舞う。それがXを担当する刑務官の間ではかなり不気味に映り、頭のねじが足りないと噂されてもいる。
Xが「私」に感想を言うのは「私」が毎回Xにも意見を求めているからで、「私」が何も言わなければ何も言わないままのはず。そんなやり取りを繰り返してるうちに、「私」がXに対してただの探査機と思えなくなりつつあるようにXはXで少しだけ「私」に思うところができてきたのではないかな~と思う。
X、「私」やプロジェクトメンバーとほとんど言葉を交わすことはないんだけど(Xが自分からは喋らないから……)、それでも彼らについてずっとプラスの評価をしているのだよね。基本的には人を好意的に見る人、なんだと思っているし、もう疑ったりしなくてよいという点で少し気が楽なのかもしれない。
無名夜行、この辺の話を語ることが(「私」視点であるが故)難しいところあり……。ほんとはもっとXの背景がんがん出していってしまってもいいかなと思いはする(別に設定されてないわけでないのは今つらつら喋ったとおりなので……)
#無名夜行
Xは、人を数人殺した罪を抱えてるわけで、当時は結構センセーショナルに報じられたと思うんだよね。そんなわけで調べさえすればXが何者でどういう罪状なのかもある程度詳しくわかるんだけど「私」が大して興味がないので今のところXはただのXのままでいる。
最初にXによるものだとわかった殺人事件は一つで、でもその事件で捕まったX自身の自供で、実はもっとたくさん殺してることが判明したのだった。手口は毎回がらっと変えてて、しかもいろんな偶然も味方してXの手による殺人だということが限りなくわかりづらくなってたというおはなし。
あと、比較的期間をおいていたり、殺害場所がばらばらだったり、そもそも被害者に共通点が全く見あたらなかったり、とにかく「同一犯」であることがわかりづらい殺人だったんだよね~。いつかそのへんは語りたいところはある……。
ちなみにXは、己のしたことに対して全く反省の色を見せてないし今も全然反省してない。そりゃ死刑にもなるよ。反省してないけど「私」の前に見せてる従順な態度が嘘というわけではない。あれはほとんど素。
Xは反省してないけど自分が法で裁かれることは当然だと思ってるし、法が正しく行使されたことにはむしろ「よかった」と思っている。Xは自分を取り巻く世界がまっとうであってほしいと願っている人なんだけど、X自身があまりまっとうでないから、最後には自分が破滅するとは思ってたと思うんだよな。
無名夜行の時点でのXは、素直に社会貢献のためにプロジェクトに協力しているのだよな……もう大切なものは何も残ってないので、なんだってできてしまうという側面もある。時々個人的な感想を言葉にすることはあるけど、「私」が強いれば何でもするだろうね。
ちなみに無名夜行の時期は、Xが捕まってから十年ほど経っていて、プロジェクトに誘われるまでの間はずっと静かに拘置所で暮らしていた。従順で何一つ問題を起こしたことがない、という報告を受けて「私」がXを選んだという背景があったりする。
時には非人道的な扱いを受けてたかもしれないんだけど、Xはまるで気にする素振りを見せない。自分に対して何をされても感情が動かないところはあり、波風立てずにどこまでも従順に振る舞う。それがXを担当する刑務官の間ではかなり不気味に映り、頭のねじが足りないと噂されてもいる。
Xが「私」に感想を言うのは「私」が毎回Xにも意見を求めているからで、「私」が何も言わなければ何も言わないままのはず。そんなやり取りを繰り返してるうちに、「私」がXに対してただの探査機と思えなくなりつつあるようにXはXで少しだけ「私」に思うところができてきたのではないかな~と思う。
X、「私」やプロジェクトメンバーとほとんど言葉を交わすことはないんだけど(Xが自分からは喋らないから……)、それでも彼らについてずっとプラスの評価をしているのだよね。基本的には人を好意的に見る人、なんだと思っているし、もう疑ったりしなくてよいという点で少し気が楽なのかもしれない。
無名夜行、この辺の話を語ることが(「私」視点であるが故)難しいところあり……。ほんとはもっとXの背景がんがん出していってしまってもいいかなと思いはする(別に設定されてないわけでないのは今つらつら喋ったとおりなので……)
#無名夜行
2022年 この範囲を新しい順で読む この範囲をファイルに出力する
2023年 この範囲を新しい順で読む この範囲をファイルに出力する
金曜卓CoC『VOID』、終わったなぁ……。
長い旅、歩んだ道であったな~~~~。
思うことは色々あれど、やっぱこういうシナリオが存在するということに喜びを感じる。
そして、それを一緒に遊んでくれる人がいるということ、純粋にうれしいなと思うよ~。
彼らが歩んだ世界は、この先も続いていくんだな……。
長い旅、歩んだ道であったな~~~~。
思うことは色々あれど、やっぱこういうシナリオが存在するということに喜びを感じる。
そして、それを一緒に遊んでくれる人がいるということ、純粋にうれしいなと思うよ~。
彼らが歩んだ世界は、この先も続いていくんだな……。
2024年 この範囲を新しい順で読む この範囲をファイルに出力する
アフターグロウ・アフターイメージ
afterglow:余光、残光
afterimage:残像
その面影を忘れたとしても、きっと。
残り続けるものは、ある。
■シナリオ
・Side: 鏡 八千草 >>2128
・Side: 根林 久雄 >>2129
・Side: 犬見 勇 >>2157
■蛇足
・絵 >>2158
・作るときに考えていたこと >>2132
・シナリオに書いてないこと >>2155
・あとがき >>2160
#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
afterglow:余光、残光
afterimage:残像
その面影を忘れたとしても、きっと。
残り続けるものは、ある。
■シナリオ
・Side: 鏡 八千草 >>2128
・Side: 根林 久雄 >>2129
・Side: 犬見 勇 >>2157
■蛇足
・絵 >>2158
・作るときに考えていたこと >>2132
・シナリオに書いてないこと >>2155
・あとがき >>2160
#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
アフターグロウ・アフターイメージ/シナリオに書いてないこと
基本的にシナリオで語ってない以上蛇足なのであんまり真に受けないでほしいですが、シナリオ回しながら考えてはあった話を置いておきます。
以下はCoCシナリオ『庭師は何を口遊む』のネタバレを含んでいます。
・かぶらき少年は結局何?
鏑木は中学生くらいの頃まで母親から虐待を受けてましたが、ある時耐えかねて家を飛び出し、その後明確に虐待が発覚したことで家と縁を切り今に至っています。
この「家を飛び出したタイミング」で、鏑木は過去の自分と意識的に決別をしており、この時かぶらき少年を「殺した」とばかり思っていました。
なので、かぶらき少年の存在と、家に帰りたくなかった少年の「終わらない夕暮れの街」は鏑木が普段は意識していない、過去に切り離したはずの苦痛の日々の記憶です。
それでも、今となっては、完全に切り離したい・捨て去りたい悪夢というよりも「痛みはあるけど懐かしい」ものとして認識されています。
かぶらき少年が鏑木を自分自身と認識できないし三人のことを知らないのは、鏑木本人が過去の自分を「別物」として切り離しているからです。
ただし、これは夢の中で鏑木が自殺して一時的に夢のコントロール主導権を受け取ったことで、少しだけお互いにリンクが生まれたのか、かぶらき少年は最後には鏑木のことを『おれ』と認識していますし、鏑木も夢の中のことをおぼろげに思い出すことができるようになっています。
また、鏑木が自殺で即死しなかったのも、コントロールを委ねられるかぶらき少年がまだその場に残っていたからです。切り離したといいつつ、ふたりでひとつ、なんですよね。
ちなみに、かぶらき少年は小学五年生くらいの鏑木の姿。「一番つらかった時」の姿のことは、本当に思い出せないのかもしれません。
・「おとうさん」のこと
鏑木家の家族構成は母親一人です。
父親は鏑木が物心つく前に蒸発しており、つまり鏑木(かぶらき少年)は父親の顔を知りません。
ただ、母親は幼い鏑木に消えたその人の話をことあるごとにしており、その人が帰ってくることを待ち望んでおり、その際に「お前は父親によく似ている」と語っていたため、かぶらき少年は今の鏑木を「帰ってきた父親」と誤認するようになっていました。
この当時のかぶらき少年は「父親が帰ってくれば母親も喜んでくれる」と素直に信じていられる程度には純粋だったため。
鏡さんのときはその誤認すら許してもらえなかったけど……w
鏑木が自分が父親だと嘘をつくのは、上記の通り過去の自分が今を認識できていない以上は、ろくな目に遭ってこなかった過去の自分が、この瞬間だけでも心安らかにあれるよう願ってのことです。
・冬虫夏草の怪異
基本的にはシナリオに書いてある通りの存在です。
発見されたばかりで固有の名前はなく、おそらく神話生物の類ですがその辺りの分析は進んでいません、この時点では。
鏑木の夢に巣食っていたので鏑木の忘れたかったことやトラウマを反映させていましたが、対面した人の心の疵も想起させる存在です。
そのため、鏑木視点で「相模原涼」のように見えている影は、対面した犬見さんには「根林未来」のように見え、かぶらき少年には「おかあさん」に見えたわけです。
女の姿をしていたのは単純に鏑木が「女性」に対してめっちゃ隔意を持っているからです。嫌いというよりも心の疵からくる隔意ですね。
なので別の人の夢の中では全く違う姿で見えると思います。
なおその後も「失踪事件」はちょこちょこ発生するのですが、それに伴って怪異に対する情報も広められていき、情報の流布と同時に「弱点」も付与されていくことで、今回のような無茶な対策以外の対策も可能になることでしょう。
それが進めばやがては怪異の存在も取るに足らないものになると考えられています。
この辺りは後のシナリオフックにしたいな、と思っています。
それこそハッカー(というか単純に〈コンピューター〉技能が得意な人)探索者との1on1シナリオかなんか作れたらいいな~と思ってるんですよね。
・猫スレの主
特別ゲストのモッキンバード( >>2124 )。
もうちょい正確には「不知火諒の趣味の姿のひとつ」。
・そういえばその後鏑木どうなったの?
流石に緊張の糸が切れて体調が悪化し、大人しく入院しました。
でも三日くらいで当たり前のように帰ってきました。そういうやつだよね。
畳む
目次 >>2154
#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
基本的にシナリオで語ってない以上蛇足なのであんまり真に受けないでほしいですが、シナリオ回しながら考えてはあった話を置いておきます。
以下はCoCシナリオ『庭師は何を口遊む』のネタバレを含んでいます。
・かぶらき少年は結局何?
鏑木は中学生くらいの頃まで母親から虐待を受けてましたが、ある時耐えかねて家を飛び出し、その後明確に虐待が発覚したことで家と縁を切り今に至っています。
この「家を飛び出したタイミング」で、鏑木は過去の自分と意識的に決別をしており、この時かぶらき少年を「殺した」とばかり思っていました。
なので、かぶらき少年の存在と、家に帰りたくなかった少年の「終わらない夕暮れの街」は鏑木が普段は意識していない、過去に切り離したはずの苦痛の日々の記憶です。
それでも、今となっては、完全に切り離したい・捨て去りたい悪夢というよりも「痛みはあるけど懐かしい」ものとして認識されています。
かぶらき少年が鏑木を自分自身と認識できないし三人のことを知らないのは、鏑木本人が過去の自分を「別物」として切り離しているからです。
ただし、これは夢の中で鏑木が自殺して一時的に夢のコントロール主導権を受け取ったことで、少しだけお互いにリンクが生まれたのか、かぶらき少年は最後には鏑木のことを『おれ』と認識していますし、鏑木も夢の中のことをおぼろげに思い出すことができるようになっています。
また、鏑木が自殺で即死しなかったのも、コントロールを委ねられるかぶらき少年がまだその場に残っていたからです。切り離したといいつつ、ふたりでひとつ、なんですよね。
ちなみに、かぶらき少年は小学五年生くらいの鏑木の姿。「一番つらかった時」の姿のことは、本当に思い出せないのかもしれません。
・「おとうさん」のこと
鏑木家の家族構成は母親一人です。
父親は鏑木が物心つく前に蒸発しており、つまり鏑木(かぶらき少年)は父親の顔を知りません。
ただ、母親は幼い鏑木に消えたその人の話をことあるごとにしており、その人が帰ってくることを待ち望んでおり、その際に「お前は父親によく似ている」と語っていたため、かぶらき少年は今の鏑木を「帰ってきた父親」と誤認するようになっていました。
この当時のかぶらき少年は「父親が帰ってくれば母親も喜んでくれる」と素直に信じていられる程度には純粋だったため。
鏡さんのときはその誤認すら許してもらえなかったけど……w
鏑木が自分が父親だと嘘をつくのは、上記の通り過去の自分が今を認識できていない以上は、ろくな目に遭ってこなかった過去の自分が、この瞬間だけでも心安らかにあれるよう願ってのことです。
・冬虫夏草の怪異
基本的にはシナリオに書いてある通りの存在です。
発見されたばかりで固有の名前はなく、おそらく神話生物の類ですがその辺りの分析は進んでいません、この時点では。
鏑木の夢に巣食っていたので鏑木の忘れたかったことやトラウマを反映させていましたが、対面した人の心の疵も想起させる存在です。
そのため、鏑木視点で「相模原涼」のように見えている影は、対面した犬見さんには「根林未来」のように見え、かぶらき少年には「おかあさん」に見えたわけです。
女の姿をしていたのは単純に鏑木が「女性」に対してめっちゃ隔意を持っているからです。嫌いというよりも心の疵からくる隔意ですね。
なので別の人の夢の中では全く違う姿で見えると思います。
なおその後も「失踪事件」はちょこちょこ発生するのですが、それに伴って怪異に対する情報も広められていき、情報の流布と同時に「弱点」も付与されていくことで、今回のような無茶な対策以外の対策も可能になることでしょう。
それが進めばやがては怪異の存在も取るに足らないものになると考えられています。
この辺りは後のシナリオフックにしたいな、と思っています。
それこそハッカー(というか単純に〈コンピューター〉技能が得意な人)探索者との1on1シナリオかなんか作れたらいいな~と思ってるんですよね。
・猫スレの主
特別ゲストのモッキンバード( >>2124 )。
もうちょい正確には「不知火諒の趣味の姿のひとつ」。
・そういえばその後鏑木どうなったの?
流石に緊張の糸が切れて体調が悪化し、大人しく入院しました。
でも三日くらいで当たり前のように帰ってきました。そういうやつだよね。
畳む
目次 >>2154
#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
アフターグロウ・アフターイメージ/Side: 犬見 勇
CoC6版『庭師は何を口遊む』自陣向けに書いたシナリオ、HO3の犬見 勇さん向け。
※この文面には『庭師は何を口遊む』のシナリオのネタバレが含まれます。
■個別トレーラー
・犬見さん
「……戻ったか、犬見」
他部署の応援から戻ってきたあなたに、根林久雄は告げる。
鏡八千草の話は正しかったということ。鏑木の容態が思わしくないということ。
このまま放置すれば、鏑木は消失し、更に被害が拡大するということ。
鏑木を侵すものを食い止める儀式の説明を見つめながら、
あなたは一週間前の、鏑木と赴いた不可解な事件現場を思い出していた。
======
■Side: 犬見 勇/特殊ルール
「あなたはこの零課の中で最も屈強な体を持ち、体術などに於いても非常に優れている。」
あなたは、本シナリオにおいて〈挑発〉を使用可能である。
〈挑発〉
この技能はその戦闘ラウンドの間ずっと効力を発揮し続ける。つまり一度成功してしまうと、戦闘が終わるまでの間永続的に機能する。効果は、敵からの攻撃が全て自分に向けられるというものだ。ただし知能数が自分よりも下の獣等にのみ有効である。
〈挑発〉は対人間・神格には利用できない。
(『庭師は何を口遊む』抜粋)
======
さて、犬見さん、あなたは今、ちょうど鏑木から指示された他の部署の応援から帰ってきたところです。
応援に出る前に、鏡さんがこう言っていたことを思い出します。
(鏡さんからの宿題の文面を読み上げ)
鏡さんから鏑木の容態についてこのように聞かされていたあなたは、おそらく、不安を抱えていたことでしょう。
そして、零課の執務室に戻った犬見さんを、根林さんが迎えます。
(根林さんからの宿題の文面、情報項目を読み上げ)
鏑木は仮眠室で眠ったままでいます。
……本来、一旦は目覚めるはずなのですが、どうやら症状が深刻になってきているようです。
このまま放置していれば確実に鏑木は消失し、同じ症状が周囲に広まってゆくでしょう。
根林さんは一週間前の話をしました。
そう、あなたは一週間前、鏑木と共に「失踪事件」の捜査に出かけたことを思い出します。
これは本来は零課の仕事ではないのですが、他部署の応援というやつです。
事件の概要としては、前触れもなく失踪してしまった男性の行方の調査です。
(その男性の氏名や詳細については当シナリオには無関係のため割愛し、以降「失踪者」とだけ表記します)
失踪者と同様の「前触れのない失踪」が同一の地域で数件報告されていますが、未だその行方はつかめていません。
犬見さんは、鏑木と共に失踪者の自宅に赴きましたが、行き先の手がかりを見つけることはできませんでした。
……その時のことを、あなたは、思い出すでしょう。
《回想:一週間前》
犬見さんと鏑木は、失踪者の部屋に足を踏み入れました。
マンションの一室。一人暮らしの、そう大きくはなく、それなりに片付いた部屋。
鏑木
「失踪が発覚したのは職場に無断で欠勤し、その後誰も連絡がつかないってことがわかってのことだ」
「監視カメラの記録を見る限り、その前日の夜帰ってきて、それから部屋から出た形跡はなさそうだ」
こじ開けられた鍵、切断されたドアチェーン。
つまり内側からきちんと鍵がかけられていた、ということ。
また、どの窓も固く閉ざされていたということがわかっています。
生活の痕跡はそのまま残されており、何者かの侵入の痕跡もない。
持ち物は全て残されていて、これらに手を付けられた様子もありません。
「一瞬前までベッドで寝てて、そこから突然『消えた』みてえだよな」
「それとも、『悪い夢に連れ去られた』なーんて、こと……、あってたまるかってんだよなァ?」
そう、失踪者の手帳が鞄の中に残されており、その手帳は既に押収されており、その内容を共有されています。
中身はごく普通の仕事のメモとちょっとした日常の記録でしたが、失踪から数日前の日付で「ここしばらくずっと嫌な夢を見ている」という記載があったと報告を受けています。
夢、それが関係あるとでもいうのか。当時の犬見さんはそう思ったことでしょう。
ただ、鏑木はどう思ったのでしょうか、不意に、口を開いたのでした。
「なあ、犬見。お前は、嫌な夢って見るか?」
「夢でなくても『忘れられない』こと、脳裏をぐるぐると巡って止まらなくなるような、光景が、あるか?」
(ここでは「忘れられない辛い思い出」の話をする。基本的には犬見さんの話を肯定的に聞くものとする。鏑木は聞かれたら以下のように答える)
「俺は薄情だし、頭の容量も足らんからな。今のことしか考えられやしねぇ」
「……どんどん、忘れていくもんだ。いいことも、辛いことも、全部」
(適度に話をしたところで切り上げる)
「すまん、無駄口を叩いたな。捜査を続けよう」
しかし、結局、どれだけ捜査をしたところで、失踪者の行方に関わる手がかりを得ることはできませんでした。
かくして、部屋から出ようとしたところで、不意に鏑木が犬見さんの肩を叩きました。
「何かついてたぞ」
「……、いや、見間違いか? 悪ぃな、脅かして」
しかし、その表情はやけに険しいもので。
……そもそも、鏑木が自分から犬見さんに触れることは、記憶の限り今まで一度もなかったと記憶しています。
※ここで、鏑木は犬見さんが怪異に取りつかれそうになっているところを「肩代わり」している。
鏑木の目には「黒い胞子のようなものが飛んでいる」ように見えていて、それが犬見さんに付着していたのを取り除いた(代わりに自分がそれを得た)ということ。
もし犬見さんが質問してきたなら黒い埃のようなものがくっついていた、という言い方をする。ただし犬見さんにはその埃は見えないし、鏑木も「見失った」という。
ともあれ、その日はそれだけでした。
それだけのはず、だったのですが――。
鏑木があの「失踪事件」と同じ状況に陥ろうとしているのは、間違いなさそうです。
そして、どうも「一度夢に入った人物」は二度は干渉できないということのようです。
鏡さんが目にして、根林さんが分析し、そして、今動けるのは犬見さんひとり。
他に適任がいたとしても、それを探している間に鏑木は消失してしまう可能性が高いでしょう。
もし、あなたが望むなら。
鏡さんや根林さんがそうであったように、鏑木の傍に近づけば、すぐにでも、夢に招かれることでしょう。
あなたは、今、知らない住宅街に、一人立っています。
真っ赤に染まった、夕暮れ時の街並み。
ひどく静かで、車の音や人の声や足音、風の音も聞こえません。
その時、空を……あるいは、風景全体を、音もなく黒い網が覆い。
すぐにそれは消えましたが、背筋にぞわりとするような、感覚。
異様な状況にSANc(1/1d3)
……その時、あなたは視線を感じます。
ふ、とあなたが視線を向けた先、塀の陰に何者かがうずくまっています。
ひとりの少年です。
あなたがそちらを見れば、びくりと震えて、おずおずと様子を窺ってくることでしょう。/
《以下フリースタイル》
鏑木少年と出会う。今回の鏑木少年は既に鏑木に会っており「怖いことが起こるかもしれないから隠れていろ」と言われている。
なお相変わらず鏑木は鏑木少年には「お父さん」ということにしているらしい。困ったものであるが一応鏑木にちゃんと聞けば「説明がめんどいのと、あとは、これが俺の夢であるなら、……カスの嘘であろうとも、『信じさせる』のは俺の勝手だろ」ということ。言い方は悪いけど要するに子供のころの自分がかなえられなかったことを、叶えてもいいじゃないか、程度の意味合いである模様。
《鏑木少年ロール指針》
・見た目は小学校高学年~中学一年生くらい(聞かれれば「じゅっさい(=10歳、小学五年生)」と答える)。背は高め(155~160くらい)だがひどく痩せている。フードから覗く髪と目は灰色で、肌の色は薄い。鏑木と同じ特徴。
・一人称は「おれ」。ひらがな多めのたどたどしい口調で喋る。(精神的に見た目・実年齢より幼い)
・最初は酷くおびえている。視線が合わないことに気づかせてもいい。
・いじめない、とわかったら少し明るく喋るようになる。喋り方はわやわやで、相変わらず視線は合わないが。
・やや頭が悪いというか相手の話が半分くらい分かっていないような素振りを見せる。INTというよりはEDUが低いということが伝わるといいな。
・話がある程度落ち着いたところで「おとうさんが、このへんにかくれてろって、いった」「こわいことが、おこるかもしれないから」という。
・父親とおぼしき人物は、怖いことを遠ざけるためにあっち(鏑木家の方面)に向かった、という。
・ただし、犬見さんがついてこさせない、とするなら問題は無い。きちんと諭せばわかってくれる。気が弱いので。
・父親とおぼしき人物は、背が高くて眼鏡をかけてた、という証言をする。詳しく聞けば確か黒いシャツに赤いベストを着てて、ズボンの色は灰色だったと思う、という説明になるかな。適宜状況に合わせて。
・ちなみに鏡さんや根林さんのことは前後関係を忘れつつも覚えている。毎回鏑木のことだけは忘れている。
少し鏑木少年と喋った後に再び視界を覆う黒い網、そして遠方から聞こえる銃声。
少年が「おとうさんがしんぱい」と言い出す。
なお、犬見さんがそちらに向かおうとするなら「おれも、ついていきたい」ということを言う。
少年に案内してもらうことができる。
駆け付ければ、そこには黒い影のような何かがわだかまっています。
それらは植物の姿をかたどっていることがわかるでしょう。
アザレア、アイビー、あるいはそれ以上の、輪郭だけの花々。
それらが首をもたげ、蔦を伸ばして、そこに立つ見慣れたシルエット――鏑木に襲い掛かろうとしているのがわかるでしょう。
鏑木の手には一丁の銃。引金を引けば響く銃声、はじけ飛ぶ影の一部。
しかし焼け石に水とばかりに、次から次へと殺到する影の植物たち。
鏑木は、もう一度、引金を引くも――、銃声は響かない。
弾切れのようです。
「くそっ、俺の夢ん中なんだからもうちょい自由になれよなぁ!」
理不尽なようですが、まあ、そう思うのもやむなし。
犬見さんは鏑木と影の植物の間に割って入ることができます。
簡易戦闘。
影の植物のDEXは9(鏑木と一致)。
攻撃は鏑木のキックと同等なので
CCB<=50
回避は鏑木と同等だとマジで避けそうなので初期値で
CCB<=18
HPの設定はない。犬見さんが一撃を与えれば一旦植物は退散する。
犬見さんの一撃を受けて、影の植物はばらばらに崩れ落ちます。
けれど視界を覆う黒い網は消えてくれません。
周囲にはふわふわと黒い埃のようなものが漂っており、ただならぬ気配に満ちています。
……残された時間は、あまり多くはなさそうです。
《鏑木家》
古く小さな一軒家です。低い塀の向こうの庭は荒れていて、長らく手入れがされていません。
また、表札を見るならそれはぼんやりとしており、文字の形をなしていないでしょう。
……おそらく「鏑木」と書いてあるのだろう、と想像はできるでしょうが。
鏑木
「悪ぃな、迷惑かけちまって。鏡にも、根林にも、嫌なこと任せちまった」
「何か根林が気づいて仕掛けてくれたのはわかったんだが、こっちも時間がなさそうだ」
「俺は根林から話を聞くことはできなかったからな、手短にいこう」
「俺は、『これから』『どうすればいい』?」
以下、ロールによって色々変わるのでその場のノリで。
一応選択肢としては「犬見さんが鏑木を殺す」「鏑木が自殺する」の2パターン。
犬見さんが殺害の意志を示すなら、鏑木の方から自殺のアイデアを出すこと。
(鏑木は犬見さんに負担をかけさせたくないので……)
それ以外にも鏑木を確かに「殺す」ことができれば別のパターンもありうる。
どうにせよ、鏑木はこういう。
「助かるために必要なんだろ、気に病むんじゃねえよ……、っつーのは、ちょいと無理筋だろうが」
「なーに、これまでも何度も殺されてきたんだ、あと一回くらい、どうってことはねえさ」
「頼んだぜ、犬見。『あとで』いくらでも埋め合わせはするからよ」
それは、『あと』があるという確信。
これで終わりになどしない、という強い意志。
どういう形であれ「ここにいる鏑木」が死ねば展開する。
鏑木の体が力を失い、アスファルトの上に転がります。
……その瞬間、世界を覆っていた黒い網がばらばらに崩れ始めました。
予定外の挙動、ルーティンにはないタイミングでの「宿主」の死。
その、刹那のバグは、あるいは自己修復可能な範囲だったかもしれません。
けれど、その、生み出されたバグに打ち込まれる白い楔を、犬見さんは見ました。
ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ。
――それは、根林さんが「仕掛けた」楔。
それはほんの少しのバグを、完全な破綻へと導いていきます。
鏡さんが怪異の存在を見出し、根林さんがそれを分析し。
そして、その結末を見届けることは、犬見さんに委ねられました。
閉ざされていた家の扉が開き、そこから、黒い影が溢れ出してきます。
意志らしい意志を持たない、自動的な怪異は、己の「維持」と「増殖」だけを目的に動いており。
故にこそ、最後の足掻きとばかりに――あるいは、もう一度、誰かに根付こうと。
犬見さん、あなたと、それから……、何故か「鏑木が」死んだのに未だそこにいる少年に狙いを定めます。
黒い影は、――植物を纏った、女の姿を取ります。
それは、犬見さんには、「相模原涼」にも「根林未来」にも見えたかもしれません。
あるいは、傍らの少年には、
「おかあさん……?」
――に、見えていたかもしれません。
姿を、輪郭を刻一刻と変えていく、あやふやな、「女」のかたち。
その影を視認した瞬間、背筋を伝う、ざらりとした、嫌な感覚。体の内側に何かが這いまわるような嫌な感触。
それが、怪異によって形を持った、鏑木のむき出しの恐怖、トラウマ――「心の疵」であることを、否応なく理解させられることでしょう。
SANc 1d3+1/1d6+1
それでも、――それでも。
目の前の影は自壊しようとしています。
ここで踏みとどまることができれば、怪異は滅び、悪夢は終わるでしょう。
■戦闘終了条件
以下の「いずれか」を満たした際に戦闘終了となります。
・6ラウンドの経過(怪異の自壊)
・冬虫夏草の怪異の消滅
・犬見さんの死亡・気絶・SAN0
・かぶらき少年の死亡・気絶・SAN0
■冬虫夏草の怪異
1ラウンドに3回行動を行います。
HPが設定されており、また回避は行いません。
※以下KP情報
HP40
全ての攻撃は命中50で判定
・締め付け:1d3ダメージ、以降の自行動前に【STR*5】、失敗で行動不可
・刺突:1d4+2ダメージ
・恐怖の想起:SANc 1d3/1d6
■かぶらき少年の運用
かぶらき少年はこの夢を維持するものであり、ほんの少しだけ「自分の願い」を反映させられます。
かぶらき少年はラウンド3回まで、MPを1d3消費することで以下3点のいずれかを可能とします。
1.犬見さんの再行動
→「失敗した判定の再判定」または「行動の追加」が行えます。
2.犬見さんのHP回復(1d3+2)
3.犬見さんの発狂解除
これはかぶらき少年の行動順とは無関係に、任意のタイミングで可能です。
代わりに、かぶらき少年はSANチェック以外のあらゆる判定を行いません。
また、かぶらき少年はショック判定を行わず、HPが0になるまでは死亡・気絶しません。
(ただしMP0での気絶はあります)
※鏑木の夢ってことは「多少は鏑木の自由になる」ということであり、犬見さんの力になりたいという気持ちは、鏑木も、そしてかぶらき少年も一緒である。あるいは鏑木曰くの「犬見ならこんな奴には負けないだろう?」の気持ちでもあるんだと思う。鼓舞激励、あるいは士気高揚、不撓不屈……。
======
戦闘中の描写や結末はアドリブ。どうなるかわからんので。
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afterglow:余光、残光、
afterimage:残像。
その面影を忘れたとしても、きっと。
残り続けるものは、ある。
「だから、」
「いいゆめを、みてね」
【報酬】
鏑木の夢から怪異を打ち払った:SAN+2d6
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#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
CoC6版『庭師は何を口遊む』自陣向けに書いたシナリオ、HO3の犬見 勇さん向け。
※この文面には『庭師は何を口遊む』のシナリオのネタバレが含まれます。
■個別トレーラー
・犬見さん
「……戻ったか、犬見」
他部署の応援から戻ってきたあなたに、根林久雄は告げる。
鏡八千草の話は正しかったということ。鏑木の容態が思わしくないということ。
このまま放置すれば、鏑木は消失し、更に被害が拡大するということ。
鏑木を侵すものを食い止める儀式の説明を見つめながら、
あなたは一週間前の、鏑木と赴いた不可解な事件現場を思い出していた。
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■Side: 犬見 勇/特殊ルール
「あなたはこの零課の中で最も屈強な体を持ち、体術などに於いても非常に優れている。」
あなたは、本シナリオにおいて〈挑発〉を使用可能である。
〈挑発〉
この技能はその戦闘ラウンドの間ずっと効力を発揮し続ける。つまり一度成功してしまうと、戦闘が終わるまでの間永続的に機能する。効果は、敵からの攻撃が全て自分に向けられるというものだ。ただし知能数が自分よりも下の獣等にのみ有効である。
〈挑発〉は対人間・神格には利用できない。
(『庭師は何を口遊む』抜粋)
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さて、犬見さん、あなたは今、ちょうど鏑木から指示された他の部署の応援から帰ってきたところです。
応援に出る前に、鏡さんがこう言っていたことを思い出します。
(鏡さんからの宿題の文面を読み上げ)
鏡さんから鏑木の容態についてこのように聞かされていたあなたは、おそらく、不安を抱えていたことでしょう。
そして、零課の執務室に戻った犬見さんを、根林さんが迎えます。
(根林さんからの宿題の文面、情報項目を読み上げ)
鏑木は仮眠室で眠ったままでいます。
……本来、一旦は目覚めるはずなのですが、どうやら症状が深刻になってきているようです。
このまま放置していれば確実に鏑木は消失し、同じ症状が周囲に広まってゆくでしょう。
根林さんは一週間前の話をしました。
そう、あなたは一週間前、鏑木と共に「失踪事件」の捜査に出かけたことを思い出します。
これは本来は零課の仕事ではないのですが、他部署の応援というやつです。
事件の概要としては、前触れもなく失踪してしまった男性の行方の調査です。
(その男性の氏名や詳細については当シナリオには無関係のため割愛し、以降「失踪者」とだけ表記します)
失踪者と同様の「前触れのない失踪」が同一の地域で数件報告されていますが、未だその行方はつかめていません。
犬見さんは、鏑木と共に失踪者の自宅に赴きましたが、行き先の手がかりを見つけることはできませんでした。
……その時のことを、あなたは、思い出すでしょう。
《回想:一週間前》
犬見さんと鏑木は、失踪者の部屋に足を踏み入れました。
マンションの一室。一人暮らしの、そう大きくはなく、それなりに片付いた部屋。
鏑木
「失踪が発覚したのは職場に無断で欠勤し、その後誰も連絡がつかないってことがわかってのことだ」
「監視カメラの記録を見る限り、その前日の夜帰ってきて、それから部屋から出た形跡はなさそうだ」
こじ開けられた鍵、切断されたドアチェーン。
つまり内側からきちんと鍵がかけられていた、ということ。
また、どの窓も固く閉ざされていたということがわかっています。
生活の痕跡はそのまま残されており、何者かの侵入の痕跡もない。
持ち物は全て残されていて、これらに手を付けられた様子もありません。
「一瞬前までベッドで寝てて、そこから突然『消えた』みてえだよな」
「それとも、『悪い夢に連れ去られた』なーんて、こと……、あってたまるかってんだよなァ?」
そう、失踪者の手帳が鞄の中に残されており、その手帳は既に押収されており、その内容を共有されています。
中身はごく普通の仕事のメモとちょっとした日常の記録でしたが、失踪から数日前の日付で「ここしばらくずっと嫌な夢を見ている」という記載があったと報告を受けています。
夢、それが関係あるとでもいうのか。当時の犬見さんはそう思ったことでしょう。
ただ、鏑木はどう思ったのでしょうか、不意に、口を開いたのでした。
「なあ、犬見。お前は、嫌な夢って見るか?」
「夢でなくても『忘れられない』こと、脳裏をぐるぐると巡って止まらなくなるような、光景が、あるか?」
(ここでは「忘れられない辛い思い出」の話をする。基本的には犬見さんの話を肯定的に聞くものとする。鏑木は聞かれたら以下のように答える)
「俺は薄情だし、頭の容量も足らんからな。今のことしか考えられやしねぇ」
「……どんどん、忘れていくもんだ。いいことも、辛いことも、全部」
(適度に話をしたところで切り上げる)
「すまん、無駄口を叩いたな。捜査を続けよう」
しかし、結局、どれだけ捜査をしたところで、失踪者の行方に関わる手がかりを得ることはできませんでした。
かくして、部屋から出ようとしたところで、不意に鏑木が犬見さんの肩を叩きました。
「何かついてたぞ」
「……、いや、見間違いか? 悪ぃな、脅かして」
しかし、その表情はやけに険しいもので。
……そもそも、鏑木が自分から犬見さんに触れることは、記憶の限り今まで一度もなかったと記憶しています。
※ここで、鏑木は犬見さんが怪異に取りつかれそうになっているところを「肩代わり」している。
鏑木の目には「黒い胞子のようなものが飛んでいる」ように見えていて、それが犬見さんに付着していたのを取り除いた(代わりに自分がそれを得た)ということ。
もし犬見さんが質問してきたなら黒い埃のようなものがくっついていた、という言い方をする。ただし犬見さんにはその埃は見えないし、鏑木も「見失った」という。
ともあれ、その日はそれだけでした。
それだけのはず、だったのですが――。
鏑木があの「失踪事件」と同じ状況に陥ろうとしているのは、間違いなさそうです。
そして、どうも「一度夢に入った人物」は二度は干渉できないということのようです。
鏡さんが目にして、根林さんが分析し、そして、今動けるのは犬見さんひとり。
他に適任がいたとしても、それを探している間に鏑木は消失してしまう可能性が高いでしょう。
もし、あなたが望むなら。
鏡さんや根林さんがそうであったように、鏑木の傍に近づけば、すぐにでも、夢に招かれることでしょう。
あなたは、今、知らない住宅街に、一人立っています。
真っ赤に染まった、夕暮れ時の街並み。
ひどく静かで、車の音や人の声や足音、風の音も聞こえません。
その時、空を……あるいは、風景全体を、音もなく黒い網が覆い。
すぐにそれは消えましたが、背筋にぞわりとするような、感覚。
異様な状況にSANc(1/1d3)
……その時、あなたは視線を感じます。
ふ、とあなたが視線を向けた先、塀の陰に何者かがうずくまっています。
ひとりの少年です。
あなたがそちらを見れば、びくりと震えて、おずおずと様子を窺ってくることでしょう。/
《以下フリースタイル》
鏑木少年と出会う。今回の鏑木少年は既に鏑木に会っており「怖いことが起こるかもしれないから隠れていろ」と言われている。
なお相変わらず鏑木は鏑木少年には「お父さん」ということにしているらしい。困ったものであるが一応鏑木にちゃんと聞けば「説明がめんどいのと、あとは、これが俺の夢であるなら、……カスの嘘であろうとも、『信じさせる』のは俺の勝手だろ」ということ。言い方は悪いけど要するに子供のころの自分がかなえられなかったことを、叶えてもいいじゃないか、程度の意味合いである模様。
《鏑木少年ロール指針》
・見た目は小学校高学年~中学一年生くらい(聞かれれば「じゅっさい(=10歳、小学五年生)」と答える)。背は高め(155~160くらい)だがひどく痩せている。フードから覗く髪と目は灰色で、肌の色は薄い。鏑木と同じ特徴。
・一人称は「おれ」。ひらがな多めのたどたどしい口調で喋る。(精神的に見た目・実年齢より幼い)
・最初は酷くおびえている。視線が合わないことに気づかせてもいい。
・いじめない、とわかったら少し明るく喋るようになる。喋り方はわやわやで、相変わらず視線は合わないが。
・やや頭が悪いというか相手の話が半分くらい分かっていないような素振りを見せる。INTというよりはEDUが低いということが伝わるといいな。
・話がある程度落ち着いたところで「おとうさんが、このへんにかくれてろって、いった」「こわいことが、おこるかもしれないから」という。
・父親とおぼしき人物は、怖いことを遠ざけるためにあっち(鏑木家の方面)に向かった、という。
・ただし、犬見さんがついてこさせない、とするなら問題は無い。きちんと諭せばわかってくれる。気が弱いので。
・父親とおぼしき人物は、背が高くて眼鏡をかけてた、という証言をする。詳しく聞けば確か黒いシャツに赤いベストを着てて、ズボンの色は灰色だったと思う、という説明になるかな。適宜状況に合わせて。
・ちなみに鏡さんや根林さんのことは前後関係を忘れつつも覚えている。毎回鏑木のことだけは忘れている。
少し鏑木少年と喋った後に再び視界を覆う黒い網、そして遠方から聞こえる銃声。
少年が「おとうさんがしんぱい」と言い出す。
なお、犬見さんがそちらに向かおうとするなら「おれも、ついていきたい」ということを言う。
少年に案内してもらうことができる。
駆け付ければ、そこには黒い影のような何かがわだかまっています。
それらは植物の姿をかたどっていることがわかるでしょう。
アザレア、アイビー、あるいはそれ以上の、輪郭だけの花々。
それらが首をもたげ、蔦を伸ばして、そこに立つ見慣れたシルエット――鏑木に襲い掛かろうとしているのがわかるでしょう。
鏑木の手には一丁の銃。引金を引けば響く銃声、はじけ飛ぶ影の一部。
しかし焼け石に水とばかりに、次から次へと殺到する影の植物たち。
鏑木は、もう一度、引金を引くも――、銃声は響かない。
弾切れのようです。
「くそっ、俺の夢ん中なんだからもうちょい自由になれよなぁ!」
理不尽なようですが、まあ、そう思うのもやむなし。
犬見さんは鏑木と影の植物の間に割って入ることができます。
簡易戦闘。
影の植物のDEXは9(鏑木と一致)。
攻撃は鏑木のキックと同等なので
CCB<=50
回避は鏑木と同等だとマジで避けそうなので初期値で
CCB<=18
HPの設定はない。犬見さんが一撃を与えれば一旦植物は退散する。
犬見さんの一撃を受けて、影の植物はばらばらに崩れ落ちます。
けれど視界を覆う黒い網は消えてくれません。
周囲にはふわふわと黒い埃のようなものが漂っており、ただならぬ気配に満ちています。
……残された時間は、あまり多くはなさそうです。
《鏑木家》
古く小さな一軒家です。低い塀の向こうの庭は荒れていて、長らく手入れがされていません。
また、表札を見るならそれはぼんやりとしており、文字の形をなしていないでしょう。
……おそらく「鏑木」と書いてあるのだろう、と想像はできるでしょうが。
鏑木
「悪ぃな、迷惑かけちまって。鏡にも、根林にも、嫌なこと任せちまった」
「何か根林が気づいて仕掛けてくれたのはわかったんだが、こっちも時間がなさそうだ」
「俺は根林から話を聞くことはできなかったからな、手短にいこう」
「俺は、『これから』『どうすればいい』?」
以下、ロールによって色々変わるのでその場のノリで。
一応選択肢としては「犬見さんが鏑木を殺す」「鏑木が自殺する」の2パターン。
犬見さんが殺害の意志を示すなら、鏑木の方から自殺のアイデアを出すこと。
(鏑木は犬見さんに負担をかけさせたくないので……)
それ以外にも鏑木を確かに「殺す」ことができれば別のパターンもありうる。
どうにせよ、鏑木はこういう。
「助かるために必要なんだろ、気に病むんじゃねえよ……、っつーのは、ちょいと無理筋だろうが」
「なーに、これまでも何度も殺されてきたんだ、あと一回くらい、どうってことはねえさ」
「頼んだぜ、犬見。『あとで』いくらでも埋め合わせはするからよ」
それは、『あと』があるという確信。
これで終わりになどしない、という強い意志。
どういう形であれ「ここにいる鏑木」が死ねば展開する。
鏑木の体が力を失い、アスファルトの上に転がります。
……その瞬間、世界を覆っていた黒い網がばらばらに崩れ始めました。
予定外の挙動、ルーティンにはないタイミングでの「宿主」の死。
その、刹那のバグは、あるいは自己修復可能な範囲だったかもしれません。
けれど、その、生み出されたバグに打ち込まれる白い楔を、犬見さんは見ました。
ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ。
――それは、根林さんが「仕掛けた」楔。
それはほんの少しのバグを、完全な破綻へと導いていきます。
鏡さんが怪異の存在を見出し、根林さんがそれを分析し。
そして、その結末を見届けることは、犬見さんに委ねられました。
閉ざされていた家の扉が開き、そこから、黒い影が溢れ出してきます。
意志らしい意志を持たない、自動的な怪異は、己の「維持」と「増殖」だけを目的に動いており。
故にこそ、最後の足掻きとばかりに――あるいは、もう一度、誰かに根付こうと。
犬見さん、あなたと、それから……、何故か「鏑木が」死んだのに未だそこにいる少年に狙いを定めます。
黒い影は、――植物を纏った、女の姿を取ります。
それは、犬見さんには、「相模原涼」にも「根林未来」にも見えたかもしれません。
あるいは、傍らの少年には、
「おかあさん……?」
――に、見えていたかもしれません。
姿を、輪郭を刻一刻と変えていく、あやふやな、「女」のかたち。
その影を視認した瞬間、背筋を伝う、ざらりとした、嫌な感覚。体の内側に何かが這いまわるような嫌な感触。
それが、怪異によって形を持った、鏑木のむき出しの恐怖、トラウマ――「心の疵」であることを、否応なく理解させられることでしょう。
SANc 1d3+1/1d6+1
それでも、――それでも。
目の前の影は自壊しようとしています。
ここで踏みとどまることができれば、怪異は滅び、悪夢は終わるでしょう。
■戦闘終了条件
以下の「いずれか」を満たした際に戦闘終了となります。
・6ラウンドの経過(怪異の自壊)
・冬虫夏草の怪異の消滅
・犬見さんの死亡・気絶・SAN0
・かぶらき少年の死亡・気絶・SAN0
■冬虫夏草の怪異
1ラウンドに3回行動を行います。
HPが設定されており、また回避は行いません。
※以下KP情報
HP40
全ての攻撃は命中50で判定
・締め付け:1d3ダメージ、以降の自行動前に【STR*5】、失敗で行動不可
・刺突:1d4+2ダメージ
・恐怖の想起:SANc 1d3/1d6
■かぶらき少年の運用
かぶらき少年はこの夢を維持するものであり、ほんの少しだけ「自分の願い」を反映させられます。
かぶらき少年はラウンド3回まで、MPを1d3消費することで以下3点のいずれかを可能とします。
1.犬見さんの再行動
→「失敗した判定の再判定」または「行動の追加」が行えます。
2.犬見さんのHP回復(1d3+2)
3.犬見さんの発狂解除
これはかぶらき少年の行動順とは無関係に、任意のタイミングで可能です。
代わりに、かぶらき少年はSANチェック以外のあらゆる判定を行いません。
また、かぶらき少年はショック判定を行わず、HPが0になるまでは死亡・気絶しません。
(ただしMP0での気絶はあります)
※鏑木の夢ってことは「多少は鏑木の自由になる」ということであり、犬見さんの力になりたいという気持ちは、鏑木も、そしてかぶらき少年も一緒である。あるいは鏑木曰くの「犬見ならこんな奴には負けないだろう?」の気持ちでもあるんだと思う。鼓舞激励、あるいは士気高揚、不撓不屈……。
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戦闘中の描写や結末はアドリブ。どうなるかわからんので。
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afterglow:余光、残光、
afterimage:残像。
その面影を忘れたとしても、きっと。
残り続けるものは、ある。
「だから、」
「いいゆめを、みてね」
【報酬】
鏑木の夢から怪異を打ち払った:SAN+2d6
畳む
#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
アフターグロウ・アフターイメージ/絵
あざらしが描いた立ち絵類。
※一部『庭師は何を口遊む』のシナリオのネタバレが含まれます。
■鏑木健太
本編で全然安らかな顔をしてなかったのでそういうの欲しいな……と思ったとあざらしは供述している。
■かぶらき少年
目線逸れてるのがデフォルト。でもちょろいのですぐ目を合わせてくれるよ。
鏑木に比べて表情が薄いのと、目にハイライトがないのがチャームポイント。
■冬虫夏草の怪異
犬見さんvs怪異でやっぱり絵欲しいなってなって描いた。
ベースは庭師本編に登場した相模原涼のイラスト。
弊陣の相模原と根林さんの妹さんは背格好がふんわり似てる設定なので、このまま「根林未来にも見えるかもしれない」って言い切った。
堂々と言い切るのが大事です。
畳む
#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
あざらしが描いた立ち絵類。
※一部『庭師は何を口遊む』のシナリオのネタバレが含まれます。
■鏑木健太
本編で全然安らかな顔をしてなかったのでそういうの欲しいな……と思ったとあざらしは供述している。
■かぶらき少年
目線逸れてるのがデフォルト。でもちょろいのですぐ目を合わせてくれるよ。
鏑木に比べて表情が薄いのと、目にハイライトがないのがチャームポイント。
■冬虫夏草の怪異
犬見さんvs怪異でやっぱり絵欲しいなってなって描いた。
ベースは庭師本編に登場した相模原涼のイラスト。
弊陣の相模原と根林さんの妹さんは背格好がふんわり似てる設定なので、このまま「根林未来にも見えるかもしれない」って言い切った。
堂々と言い切るのが大事です。
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#[TRPGシナリオ]
#アフターグロウ・アフターイメージ
でもまあ……頑張ろう! 明日行けば二日おやすみよ!!